曽 碧光
米国中医薬研究所所長
1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。
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腎臓病予防 | |||
Q : 80歳の男性です。65歳の時に軽いハート・アタックで心臓手術をした後に、また軽い脳卒中を起こしましたが、幸いにも左手指が麻痺した程度ですみました。 以後、ハート・アタックと脳卒中が再発しないようにと、家庭医と心臓専門医の処方した以下の薬を服用しています。 血糖降下剤グラビュライト、利尿剤スピロノラクトン、血圧降下剤リオバンとメトロプロロール、抗凝血剤ワルファリン、不整脈薬ジゴキシン、コレステロール降下剤ゾーコアーなどがその処方薬です。
また、他種類の処方薬を服用しているので、よく便秘をします。 便秘症状に対して医師は下剤を処方してくれましたが、下剤を常用すると、かえって便秘を強くしたり、副作用で腎臓を悪くするので、便秘の漢方でもありましたらお教えください。
従って、腎臓に障害が起こると、蛋白質の分解産物である尿素、クレアチニン、尿酸などの物質が血液中に溜まってきます。 腎臓機能の血液検査に血中の尿素窒素とクレアチニンが指標になっているのはこのためです。
従って、体の健康を保持するには各臓器の健全を図る必要があります。腎臓障害が起こっているかどうかというスレスレの状態でも、今のうちに悪化しないよう予防した方がいいと思います。 血中の尿素窒素とクレアチニンの数値を正常に戻す漢方として五苓散と小柴胡湯があります。 免疫調節作用のある小柴胡湯と水分代謝調節作用のある五苓散との併用は腎臓病治療に最も頻用されている漢方療法です。 五苓散は体のむくみによく使われている漢方で、腎臓の漢方としてよく知られています。 他に、五苓散は二日酔いの漢方としてもよく使われています。 腎臓機能を保持し、西洋薬服用による腎臓障害を最小限に食い止めるのが目下の急務であるので、小柴胡湯と五苓散を処方薬と一緒に併用してください。 服用時間表を作って飲むと混乱を避けることができます。
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(2014年9月1日号掲載) |