Tuesday, 10 December 2024

感冒の季節(2015.1.1)

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son_new8.jpg曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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感冒の季節
       

Q : アメリカは毎年冬の季節になると、インフルエンザ(感冒)の予防注射を行っていますので、私は毎年予防注射を受けています。

しかし、65歳以降になってから予防注射を受けたにかかわらず、感冒にかかるようになったのは、どういうわけでしょうか。

漢方による感冒予防法がありましたら、お教え下さい。

 

 
A : オランダの感染病研究者コロンジ博士らは、インフルエンザの予防注射が高齢者に効果がないのは、65歳以降になると免疫システムの機能が低下しているので、インフルエンザ・ウィルスを抑制する抗体の生産が若者より極端に低いためだと結論付けています(J. Virol. 75, 12182-12187, 2001)。

米国国立アレルギー感染病研究所の流行病学専門家のロンサイモンセン博士も、病気の抵抗力の一つである抗体生産の衰えた高齢者の免疫システムはインフルエンザの予防注射に対して反応が悪いため、抗体生産が低く抗体生産能力の高い若者に比べて効果がない事を報告し(Archives of Internal Medicines 165, 265-272,2005)、オランダのコロンジ博士らと同様な結論を発表しました。


    従って、あなたがインフルエンザの予防注射したのにもかかわらず感冒にかかったのは、以上述べた理由によるものです。
    漢方によるインフルエンザの予防法と、予防注射によるインフルエンザ予防法の違いは、短期間の抗体生産を目安にしている予防注射と違って、漢方予防法は、免疫システム全体の強化増強を図るのを時微とする点です。

疾病に対する体の抵抗力は抗体だけでなく、体に侵入してきたウィルスや病原菌などを撃退する免疫細胞、補体、インターフェロンなども重要な要素になっています。

漢方は、老衰した免疫システムを再活性化して免疫の総合力を増強するので、高齢者のインフルエンザと風邪の予防に大変役立っています。

ちなみに、インフルエンザと風邪の予防に最も使用されている霊芝人参黄耆湯は11種類の構成生薬全部に免疫増強効果があり、その中の8つの生薬は、インターフェロン生産機能を活性化する働きがあります。

また、構成生薬の黄耆と甘草に抗ウィルス作用があるので、高齢者の感冒予防に最もお勧め出来る漢方です。

アジア系の高齢者たちは、ずっとこの漢方でつつがなく感冒シーズンを切り抜けています。


 













 
(2015年1月1日号掲載)      

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