鈴木 博美
ドッグトレーナー 2匹のゴールデンレトリバーとの出会いをきっかけに犬の世界に興味を持つ。楽しく、且つ効果のあるトレーニング方法を求めて渡米。ケープ・エイブル・ケーナ イン(Cape-Able-Canine) のドッグトレーナー研修プログラムを終了。現在、ケーナイン・トゥ・ファイブ (Canineto Five) を立ち上げ、日本語によるドッグトレーニングクラスも開講している。幼稚園教諭の経験もある。ご質問、ご連絡はこちらまで |
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トレーニングの目標 | |||
ドッグトレーニングと聞いて、初めに思い浮かぶ姿はどのようなものですか。 多くの方が「シット・ダウン・ステイ・ヒーリング」などのオビディエンス トレーニング (服従訓練) をイメージされるのではないでしょうか。 そして、それらは特別な犬のためにあると思われてはいませんか。 人とは違う種である犬という動物が人間社会で共に暮らしていくためには、私たちが望む行動を教えてあげる必要があります。 その内容の基礎は同じでありながら、成長の過程で、それぞれのオーナーと犬がどのようなトレーニングに移行するかを決定していくことになります。 今回は、皆さんが興味を持てるように、トレーニングクラスとして提供されているトレーニンググループを紹介したいと思います。
オビディエンス トレーニング 「シット・ダウン・スタンド・カム・ヒーリング」の組み合わせで完成度を求めます。 ガイドラインが定められており、指示を出す順番は決められているので、一通りの流れを完成させるためにトレーニングするものです。 また、それぞれの号令を言葉のみ、またはハンドシグナル (ジェスチャー) のみで犬が反応できるようにトレーニングします。 定期的に競技会も開催されており、上位入賞を目標にトレーニングしている方も多くいます。
ラリー トレーニング オビディエンス トレーニングとの違いは、1つ1つのサインに指示が書かれていて、15個から20個のサインを組み合わせて毎回違ったコースを設定します。 初級レベルでは完成度より関係度を重視し、オーナーと犬が良いコミュニケーションが取れていれば号令を繰り返し与えることも可能です。 コース設定が毎回違いますので、オーナーは犬に的確な指示を与え、犬はその指示に反応する面白さが味わえます。
フリースタイル いろいろなアドバンスのトリックを組み合わせ、音楽に合わせて1つの演目を作ります。 ほぼ全般にわたりオフリーシュでの活動ですが、犬の個性や身体能力を引き伸ばせる点で、オリジナルの技を編み出したり、ともすれば「良くない行動」とされる「飛びつき」も号令により許される機会を与えられるので、犬としてはいつ飛びつくべきか、いつ飛びつくべきでないかを学習することも可能です。 犬のすべての行動にフリースタイルへの可能性が秘められているので、大変興味深いトレーニングの1つです。
ノーズワーク 「鼻さえあれば誰でも参加できる!」 犬の最も優れている能力ともいえる「嗅覚」を使ったトレーニングゲームです。 オビディエンス トレーニングを必要とせず、「におうこと」にすべての集中を向けますので、怖がりの犬や、リアクティブ (人や犬に過剰に反応して吠えたり、突進してしまう行動) な犬のトレーニングにも向いています。
スポーツ トレーニング アジリティー・フリスビー・フライボールなど犬の身体能力を最大限に生かしたスポーツトレーニングは、練習そのものが運動不足解消となり、体を動かすことが大好きなオーナーにとってはこれほど楽しめるトレーニングはないでしょう。 サンディエゴは海に近いこともあり、 サーフドッグも盛んです。
アニマル・アシステッド・アクテビティー 人が大好きで、触ってもらえることが何よりもうれしい!!という犬は、ぜひこのグループに参加してほしいですね。 もちろん、公共の場所へ出向くことが多いですから、しっかりとしたトレーニングが必要になります。 サンディエゴでは多くの団体がチームトレーニングを行っていますので、それぞれの団体に問い合わせてみてください。 このほかにも犬種の特長を生かしたトレーニングが数多くあり、ここでは全部ご紹介できませんが、自分の犬に何が向いているか、オーナー自身が楽しめるかを考えてみてください。 どのトレーニングにも “奇跡” はなく、やはりコツコツと練習を重ねることが大切です (私などはオタク444と呼ばれることもあるんですよ)。 どのトレーニングに参加できるかを迷っているようなら、ぜひトレーナーに相談しましょう。 *参考サイト: ◆ アメリカンケンネルクラブ:www.akc.org/ ◆ ナショナル・アソシエーションオブ・ケーナイン・セントワーク:www.funnosework.com/ ◆ デルタ・ソサエティー:www.deltasociety.org/
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※ここで紹介する方法はあくまでも一般的なものです。犬の年齢・気質により大きく変化しますので、専門家と相談しながら取り組まれることを推奨します。 | |||
(2012年4月1日号掲載) |