Saturday, 21 December 2024

益々高騰し続ける医療保険(2017.12.16)

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ishiwada new face石和田 貴光

保険エージェント

兵庫県神戸市出身。大学卒業後、新聞社系出版社にて教育広報部、営業企画部を経て、2001年8月25日に渡米。2005年10月にイシワダ保険エージェンシーを設立。カリフォルニア全域をカバーし、医療保険、生命保険、各種年金プランやペンションプランを専門とする。医療保険最大手のAnthem Blue Cross社より、カリフォルニア州 Top 1%の業績が称えられ、Premier Partnerとなる。趣味はランニング、読書。



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益々高騰し続ける医療保険

       

巷で騒がれている話題の中でも、多くの方が眉間にしわを寄せて話しているトピック、それが医療保険についてではないでしょうか。

2018年度に向けた医療保険の加入申請期間の最中で、連日、多くのお問合せに追われている中で、聞こえてくる悲鳴の内容は、その保険料に関してです。  

医療改革法案が実施されて4年近くが経過しますが、個々にかかる保険料は、どんどん安くなるどころか、着実に高くなっており、保険料の引き上げ率は何と50%近くまで上がってしまう例もあるほどです。 

もうここまで来てしまうと、「オバマケア」を支持していた人々も、その過ちを認めざるを得ない事態であると思います。

特に、議会の決定権を持つ各党員も、完全に機能不全を起こしている現状の医療改革を撤廃するか、改善案を早期に実施しなければ、アメリカ経済の根幹を長期的に揺るがす致命的な結果を招くと思っています。

 

医療費とは、人間にかかる維持費

「たかが医療保険、されど医療保険」とよく言っているのですが、医療費は人間が生きていく上で、必ず生じる維持費のようなものです。

車も、購入してからその維持費がかかるように、人間も生きている以上、ケガをしたり、不具合を起こし、その度に費用が発生します。

おそらく、健康食品やサプリメントの産業が世界で一番活況なところはアメリカだと思います。

ヨガに通っている人の人口や、ジムに登録する人の数も、おそらく国別で比較すると、アメリカがNo.1なのではないでしょうか。

それは、ある意味、「豊かさの象徴」だと思うのです。

誰しも、若々しくいたいと思いますし、出来ればいつまでも健康でい続けたいと思う訳です。

ですので、体に入る食事や栄養について考える上に、体を動かすことで健康維持に向けた取り組みに熱心になるのです。

世界には、紛争でジム通いや、サプリメントを買うゆとりさえない地域で暮らす人々も沢山存在します。

まともに、安全な空気も吸えない環境で、毎日、不安な気持ちで暮らす人もいます。

そう考えると、我々が暮らすアメリカは、とても恵まれており、豊かなのだと実感します。

 

 

磁石のプラスと、マイナスはくっつかない

ある程度、生活の基盤が安定し、豊かになるにつれて、不安定な状況で暮らす人々のことは、まるで他人事のようになっていきます。

つまり、豊かになるにつれて、貧しさを忘れるのではなく、排除していく傾向があるのではないかと思うのです。

「医療費を払える人と、払えない人」の2つに分ければ、払える人が、払えない人を助ければ良いと考える人が実際にいます。

私がずっと違和感を感じていた点は、この他力本願で、自己中心的な考えが、意外に多くの人の心に底に宿っている点です。

「お金にゆとりがある人と、お金にゆとりがない人」に分ければ、ゆとりがない人は、ゆとりがある人を認め、尊重するでしょうか。

逆に、ゆとりがある人は、ゆとりの無い人を積極的に支援し、協力しようとするでしょうか。 

そもそも、一人一人のお財布の事情が異なる中で、全員が満足出来るプランの実現と、かかる費用の平等性を求めること自体に無理があると思います。

医療保険は、「加入するべきと考えるか、加入しなくても良いと考えるか」で分けるのではありません。

「自分がケガや病気をした際の費用を補う具体的な対策が医療保険に加入すること (自己責任)」と認識出来る人が増えれば、それぞれのお財布の事情に合ったプランを、それぞれの価値観で選ぶようになると思います。

何事も、国が国民に強制すること自体、長続きしないように思えます。

 

(2017年12月16日号掲載)