石和田 貴光
保険エージェント
兵庫県神戸市出身。大学卒業後、新聞社系出版社にて教育広報部、営業企画部を経て、2001年8月25日に渡米。2005年10月にイシワダ保険エージェンシーを設立。カリフォルニア全域をカバーし、医療保険、生命保険、各種年金プランやペンションプランを専門とする。医療保険最大手のAnthem Blue Cross社より、カリフォルニア州 Top 1%の業績が称えられ、Premier Partnerとなる。趣味はランニング、読書。
節税は賢者の権利 |
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春を意識する季節がやって来ると、やっぱり気になるのが「タックス・リターン」ではないでしょうか。 タックス・リターンは、お仕事をリタイアされるまでやるものと思ってしまうかも知れませんが、リタイアされた後も収入がある一定以上ある場合、ずっとやり続けなければなりません。 お仕事で得られる収入には、必ず所得税(Income Tax)が課税されます。 国が栄えていくためには、国民から徴収される「税収」のシステムが確立している必要があります。 つまり、豊かな国ほど、人々が支払う「税収」のシステムが優れており、優れた公共サービスが生まれ、より良い治安が守られていくわけです。 我々が支払う税金で、世の中が豊かに潤っていく訳です。 着眼点を少しずらしてみますと、「所得税の控除が出来る仕組み」をうまく活用することで、本当は戻って来ない税金としての支払い分を、ご自身のリタイアメントを迎える頃に受け取ることが可能となります。 納税は国民の義務ではありますが、節税は賢者の権利として合法的に認められていますので、うまく活用するべきです。
総資産に占める割合 多くの方が実施している具体的な貯蓄プランとは、おそらく、シンプルに「貯金」であると思います。 実家は、商売をしていたこともあり、幼い頃から貯金をしなさいと言われて育ってきました。 しかし、大人になって気づいたことは、「貯蓄」をしなさいとは言われてこなかった点です。 貯金は、お金をこつこつと貯めていく、まさに足し算で増やすことを意味します。 それに対して、貯蓄になりますと、保険の積み立てや、投資信託、不動産投資などが対象となります。 日本で生まれ育ち、アメリカでファイナンスの仕事に就いて気づいたことは、「日本では貯金が主流」であるのに対して、「アメリカでは貯蓄が主流」である点です。 特にアメリカの場合、まとまった資産をお持ちの中間層から富裕層になるほど、総資産に占める「Cash (現金)」の割合が低く、「金融商品、投資信託、不動産」が占める割合が高いのです。 足し算で増やす貯金だけでは、やがてやって来るリタイアメント期に十分な準備は不可能だと思っています。 お金に対する意識は、生まれ育った国で受けた親や教育の影響を大きく受けます。 日本の場合、多くの高齢者がタンス貯金を動かさないことが、昨今における日本の経済低迷の大きな要因であると言われています。 貯蓄の場合、流動的なマーケット(保険商品、投資商品、その他、不動産など)に資金を投じる訳ですので、元本割れを引き起こすリスクがゼロではありませんが、中長期で行うプランほど、貯金だけでは決して得られない魅力的なリターンが還元されている商品も数多く存在します。
20年後に後悔しない人 経済活動は、一人一人が投じるお金の集積で活性化していきますので、この世の中を動かすガソリンだと割り切って、ある程度は貯蓄プランに投資を行う必要があります。 例えば、20年後、やっておいて良かったか、やらなかった方が良かったか、の二択で考えてみましょう。 不動産に関して取り上げて見ますと、20年前に住宅を購入された方で、買わなければ良かったと後悔している人よりも、賃貸し続けた事を考えれば、買っておいて良かったと言われる方が多いはずです。 次に、20年前から、こつこつとIRA (個人年金プラン)に毎年5,000ドルずつ積み立てて来られた方も、やらなければ良かったという方と、やっておいて良かったという方を比較しますと、やっておいて良かったという方の方が圧倒的に多いはずです。 個人やご家族に向けた節税プランでは、「IRA (Individual Retirement Account)」があります。Traditional IRAは、50歳までの方は、お1人5,500ドルまで拠出でき、拠出された金額は、その年の所得税の控除として計上できます。 50歳以上の方の場合、お1人6,500ドルまで拠出可能。59歳と半年までの引き出しには、10%のPenaltyと、引き出し額には所得税が課税されますので注意が必要です。 リスクは絶対に取りたくない、だから、貯蓄はしないという考えも理解できます。 しかし、生きていてリスクのない選択など本当にあるのでしょうか。 「No risk, No return」のシビアな現実を素直に受け入れることができれば、多少のリスクを取ってでも、貯蓄プランを始める価値は十分にあると信じています。 |
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(2019年2月16日号掲載) | |||