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テナント撤退が続くホートンプラザの未来像は?

テナント撤退が続くホートンプラザの未来像は?

ミレニアル世代を見据えたオフィスビルへの再生計画

2018年7月1日

© drseg / shutterstock.com

店舗撤退が目立つホートンプラザの再生計画がクローズアップされている。

不動産投資会社ストックデール・キャピタル・パートナーズは、ホートンプラザを運営するウェストフィールド・アメリカからの所有権移譲に向けてエスクロープロセスにあることを明らかにした。

詳細には触れていないが、90万スクエアフィートのホートンプラザをショッピングセンターから機能的なオフィスビルとして再生し、仕事と余暇の要素を含んだ快適な生活環境を創出したいとしている。

ストックデール社は築33年の老朽化しつつあるショッピングセンターの改築に着手し、全米に名高い優良ハイテク企業を誘致するビジョンを示している。

ホートンプラザは1980年代初頭にドイツ系移民二世の建築業者アーネスト・W・ハーン氏の設計で着工し、1985年8月にオープン。

当時は斬新な空間コンセプト、異次元的デザイン、 大胆な色調が話題を呼び、サンディエゴを象徴するイメージとして海外からも注目を集めた。

だが、1980年代はサンディエゴでもスプロール現象が進み、ダウンタウンのスラム化が心配される中での開業だった。

1994年にロビンソンズ=メイ百貨店がホートンプラザから撤退。

翌1995年にハリウッド映画をテーマとするレストランのプラネット・ハリウッドが開業したが2001年に閉店。

以来、ホートンプラザは “業績不振モール” としてのイメージが定着し、オンラインショッピングの逆風にも晒 (さら) された。

一方、ライバルのファッションバレー・ショッピングセンターは1997年、国際的な高級銘柄の専門店を積極的に誘致する大型改造プロジェクトを断行。

富裕層に照準を合わせたモール全体のカラースキーム (色彩配合) と照明システム改善、緑化促進、噴水設置、ラウンジ増設も手がけるなど、より快適なショッピング施設へと変貌を遂げた。

また、UTC (ユニバーシティ・タウンセンター) は2008年に改革基本計画がサンディエゴ市議会で承認され、コンドミニアムとショッピングモールが共存する再開発プロジェクトを推進。

有機的な生活空間としての都市型コミュニティーを出現させた。

ダウンタウンは21世紀に入るとスキッドロウを脱し、イーストビレッジ再開発、高層コンド/高級ホテル建設、遊歩道整備などが進められ、豊かなアメニティを備えた「ダウンタウン生活圏」 が誕生する。

ストックデール社が提示しているホートンプラザ再生計画にはミレニアル世代 (1980〜2005年生まれの20〜30代世代) の動向が色濃く反映されている。

彼らが好む生活拠点 No.1 はダウンタウン。

だが、企業の多くは郊外に点在し、長時間の通勤を強いられている。

高給職のテクノロジー企業を新生オフィスビル 「ホートンプラザ」に集めることで、新世代 “ ITジェネレーション” の需要を満たし、将来への活路を開こうとしている。


(2018年7月16日号掲載)