Monday, 14 October 2024

新築コンド/アパートの「駐車場附置義務」 を撤廃

新築コンド/アパートの「駐車場附置義務」 を撤廃

SD市議会、車依存からの脱却、“ECO 都市” への布石

2019年3月5日

サンディエゴ市議会は3月4日、市内を走る公共輸送機関 (MTS 路線バス、SD トロリーなど) のルート沿いに新築予定のコンドミニアムとアパートメントを対象とする、駐車場の附置義務撤廃を賛成8/反対1の大差で決議した。

これは後日、条例制定に向けて、改めて市議会で審議される予定。

賛成派は、サンディエゴ市民の間では “自動車離れ” が進み、電車、バス、自転車、ウーバー/リフトなどの配車サービスを利用する人々が急増しており、新築コンド/アパートの駐車場附置義務を存続させるのは旧弊以外の何物でもないと主張していた。

さらに、駐車場附置義務の撤廃は、市民に向けて公共輸送機関、自転車、徒歩による通勤/通学を奨励するメッセージとなり、サンディエゴ市が目指している温室効果ガス削減を後押しするとみている。(*注)

賛成派の一人、ビビアン・モレノ市議は「サンディエゴの住宅事情改善は喫緊の課題。(駐車場附置義務の撤廃は) コンド/アパートの建築コストを抑え、購入/賃貸がより現実的になる価格に落ち着いていく」と話す。

一方、反対派の見解としては、ダウンタウンの駐車スペースは絶対的に不足しており、駐車場附置義務の撤廃は時期尚早。

住民の不満が募るばかりか、QOL (生活の質) の低下を招くことを懸念している。

唯一の反対票を投じたジェニファー・キャンベル市議は「車依存社会からの脱却を試みる施策として、駐車場附置義務の撤廃を第一に掲げるのは不適切。“最後の手段” の一つと考えるべき」と反論する。

駐車場附置義務の撤廃が条例化されれば、自家用車を所有しない住人は、コンドミニアム購入価格とアパート賃貸料からパーキングスペース1台分のコストが減額される。

新条例が制定された場合、MTS 路線バスルート、SD トロリー、高速バス停留所、地元バスの頻発運行ルートから0.5マイル以内に建設予定のコンド/アパートが対象となる。

各交通機関の現ルートに加え、今後5年以内に延伸が計画されている路線も含まれる。

駐車場附置義務の撤廃とはいえ、新築物件から駐車場が消えるという意味ではない。

また、新築予定の一戸建て住宅と事業用建物には適用されない。

*注) フォールコナー市長は昨年10月、サンディエゴ市の環境保全について、2035年までに温室効果ガス半減を目標とする「再生可能エネルギー100%代替計画」を発表。市全体が風力/太陽エネルギー発電に完全移行するビジョンを明らかにしている。


(2019年3月16日号掲載)