パウェイのユダヤ教会堂で発砲、死傷者
CA州の19歳男を拘束、憎悪犯罪か
2019年4月29日
サンディエゴ郊外のパウェイ市のシナゴーグ (ユダヤ教会堂) で4月27日午前、男が押し入り銃を発砲した。
地元警察によると、60代の女性1人が死亡、男性のラビ (指導者) や少女 (8) ら計3人が負傷した。
警察は容疑者の白人の男 (19) を逮捕、憎悪犯罪 (ヘイトクライム) とみて捜査している。
米メディアによると、男は反ユダヤ主義の考えや襲撃を示唆するメモを残していた。
エスコンディドのモスク (イスラム教礼拝所) で3月に起きた放火の犯行を認めるメモも発見。
放火で負傷者はいなかったが、3月にニュージーランドのモスクで50人が死亡した銃乱射に関する落書きが現場で見つかっていた。
米メディアによると、27日はユダヤ教の祝祭「過ぎ越し祭」 (Passover) の連休最終日に当たり、シナゴーグには信者約100人が集まっていた。
男は十数発を発砲し、居合わせた非番の国境警備当局者が応戦した。
男は車で逃走したが、その後警察に電話で居場所を伝え、拘束された。
半自動小銃を所持していた。
昨年10月にもペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグで11人が死亡する銃撃事件が発生しており、ユダヤ人社会は警戒を強めている。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターの3月の世論調査では、トランプ氏が大統領選で当選した2016年後半に比べ、ユダヤ人が差別されていると感じる米国民の割合が急増。
同氏の差別的言動が反ユダヤの白人至上主義者をあおっているとの見方が強い。
国連のグテレス事務総長は28日、パウエーでの発砲事件に 「深い懸念」 を表明し 「われわれは反ユダヤ主義や、いかなる形の憎悪にも結束して立ち向かわなければならない」 との声明をツイッターに出した。
イスラエルのダノン国連大使も声明で「反ユダヤ主義が頭をもたげ、犠牲者を出し続けている」と指摘した。
「今こそ行動と断固たる戦いの時」だとした上で「憎悪の力が暗黒の歴史をよみがえらせるのを許すような、弱々しく空虚な非難」だけでは不十分だと訴えた。
*写真はイメージ
(2019年5月16日号掲載)