トモダチ作戦の被曝基金創設訴訟
SD連邦地裁が却下、控訴裁でも
2019年8月2日
東京電力ホールディングスは8月1日、東日本大震災の支援活動「トモダチ作戦」に参加した米空母乗務員らが福島第1原発事故で被曝 (ばく) したとして、東電に医療費などに充てる基金創設を求めた訴訟で、米国の控訴裁判所が控訴を却下したと発表した。
法定の控訴期間を過ぎていたためで、決定は7月30日付。
原告側は昨年3月、サンディエゴのカリフォルニア州南部地区連邦裁判所に提訴。
今年3月に請求が却下されたため、不服として4月に控訴していた。
原告は198人で、引き続き10億ドル (約1075億円) の基金を求めた。
トモダチ作戦をめぐっては今回の訴訟とは別に審理中の事案が2件あるという。
東日本大震災後、乗組員らは米軍による被災地支援の 「トモダチ作戦」 で急派され、搭載機が発着する飛行甲板などで作業していた。
原告側は、東電が米軍や市民に対し、事故で放出された放射性物質の危険などについて「事実と異なり、誤解を招く情報」を広めたと主張。
米軍側は安全だと信じてトモダチ作戦を遂行したため、乗組員が被曝し、がんのリスクが高まったとしている。
(2019年8月16日号掲載)