Tuesday, 08 October 2024

サンディエゴの「国境壁」破られる

サンディエゴの「国境壁」破られる

トランプ大統領「すぐ簡単に直す」

2019年11月6日

サンディエゴ近くのメキシコ国境で、トランプ大統領が「国境の壁」として新たに建設した金属フェンスが麻薬組織に破られ、取り締まりをめぐる “いたちごっこ” が続いている。ワシントン・ポスト紙が11月4日までに伝えた。

トランプ氏は取り換え工事で設置したフェンスについて「実質的に侵入不可能。世界的に通用する安全システムだ」と誇っていた。

しかし報道後は「公正を期して言うならば、壁がどんなに頑丈でも通り抜けることはできる。だが、すぐ簡単に直す」と発言を修正した。

ワシントン・ポスト紙は複数の国境警備担当者の話として報じた。

麻薬組織はサンディエゴ近くのフェンスで、約100ドル (約1万円) 以下で購入できるコードレスの電動のこぎりを使って一部を切断。分からないよう切断部分は元に戻されており、担当者は足で蹴るなどして確認し、切断が見つかれば溶接して直している。

トランプ政権は大幅に高くしたフェンスの設置もしているが、麻薬組織が即席の梯子 (はしご) を使ってフェンスを乗り越えるケースも発覚している。

また、米政府で不法移民の取り締まりを担当する税関・国境警備局 (CBP) のモーガン局長代行によると、2019会計年度 (2018年10月~2019年9月) にメキシコ国境で拘束などした不法移民が100万人近くに上ったという。

前年度から急増し、過去12年で最多となった。

一方、今年9月の不法移民は約52,000人で、約144,000人だった5月から大きく減ったと説明し、トランプ氏がメキシコなどと協力した結果だと強調する。

ワシントン・ポスト紙によると、過去最高の不法移民数は2000会計年度の約160万人。

ただ、モーガン氏によると、かつての不法移民はメキシコから大人1人というケースが多く、すぐに法的手続きを完了し国外退去処分にしてきた。

しかし、現在は中米諸国から家族単位、もしくは保護者なしの子供だけというケースが増えており、越境して難民申請するため対応がより難しくなっているとの認識を示している。


(2019年12月1日号掲載)