2017年の全米憎悪犯罪7,175件、17%増
サンディエゴ郡は121件、15%増
2019年2月15日
米連邦捜査局 (FBI) の発表によると、2017年に米国内で起きた憎悪犯罪 (ヘイトクライム) 件数は7,175件に上り、2016年と比べ17%増加している。
FBIによると、憎悪犯罪の対象は人種や民族が59.6%、宗教が20.6%、性的指向が15.8%。
人種の内訳は黒人が48.6%で最も多く、宗教はユダヤ教への偏見が58.1%で最多だった。
一昨年10月にはペンシルベニア州のシナゴーグ (ユダヤ教会堂) で11人が殺害された銃撃事件が発生した。
憎悪犯罪などで起訴された被告はユダヤ人を殺害する意図があったと供述しており、トランプ大統領の社会の分断を煽 (あお) る発言が影響を与えたとの批判も出ている。
最近では、シカゴ中心部の路上で1月29日未明、男優のジャシー・スモレットさん (36) が、2人組の男に顔を殴られたり首にロープを巻かれたりした。
スモレットさんは黒人で、同性愛者であることを公表しており、警察当局はヘイトクライムとみて調べている。
スモレットさんは事件後、自分で病院に行った。
大きなけがを負ったとは伝えられていない。
2人はトランプ大統領の選挙キャンペーンの合言葉や、人種や性的指向を差別する言葉を口にしながらスモレットさんを暴行し、化学薬品のようなものも浴びせて逃走した。
スモレットさんは、音楽業界で活躍する黒人家族を描いた人気ドラマに出演し、ドラマでの役柄も同性愛者だった。
性的少数派の権利擁護活動でも知られる。
サンディエゴ郡で2017年に報告されたヘイトクライム件数は121件で、2016年と比べ15%増加。
全米統計の17%に近い上昇率を示している。
2018年の統計は未発表だが、サンディエゴ地区検察局によると、郡内のヘイトクライム訴追件数は昨年11月末時点で28件を数え、前年 (2017年) の2倍となっている。
最近の例では、昨年12月、パウエーに住むユダヤ系家族が自宅に「ハヌカー」 (ユダヤ教献納祭) の飾り付けをしたところ、何者かがナチスの象徴である “鉤 (かぎ) 十字” をスプレーで吹き付けるという事件が起きている。
サンディエゴ郡内のヘイトクライム件数は2010年 (172件) 以降は横ばい、あるいは漸減傾向が続いたが、トランプ氏が大統領選に勝利した2016年に増加へと転じた。
過去12年間で最多を示したのは2006年 (181件)。
(2019年3月1日号掲載)