北朝鮮のサイバー攻撃か、LA地元紙で配送作業混乱
12月29日付 SD・ユニオン=トリビューン紙にも障害
2019年1月1日
米有力紙ロサンゼルス・タイムズなどが海外からのサイバー攻撃で配送作業などが混乱した事件について、米メディアは昨年12月30日、使用されたマルウエア (悪意のあるソフト) は、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が使ったものとみられるとの専門家の見方を伝えた。
被害の詳細などは不明だが、米有力紙へのサイバー攻撃が明らかになった初めてのケースとされ、米国土安全保障省も調査している。
ロサンゼルス・タイムズ紙で被害が確認されたのは12月27日夜。
同紙が印刷を手掛けていたニューヨーク・タイムズ紙の西海岸版や、米新聞大手 「トリビューン・パブリッシング」 (旧社名トロンク) のシステムでも障害が発生、各地の地方紙で配送作業などに影響が出た。
ラザルスは2014年、北朝鮮指導者の暗殺計画を描いたコメディ映画を製作したソニー米子会社へのサイバー攻撃などに関与したとされ、米政府は昨年9月、北朝鮮のハッカー1人を訴追し、制裁対象に指定した。
トリビューン・パブリッシング傘下のサンディエゴ・ユニオン=トリビューン紙も被害を受けた。
サンディエゴ・ユニオン=トリビューン紙はロサンゼルス・タイムズ紙と印刷所を共有しており (Olympic Blvd., L.A.)、このサイバー攻撃により、製版から印刷工程まで一時的に停止する事態に見舞われた。
サンディエゴ・ユニオン=トリビューン紙の説明によると、通常、同紙の土曜版はロサンゼルスから約2時間を要して午前3〜4時にサンディエゴへ配送され、午前7時〜8時に購読者の手元へ届く。
だが、12月29日付が同日午前中に配達された割合は約15%だった。
最初に同紙の職員が “異変” に気付いたのは12月27日夜。
スポーツ担当の編集者がデジタルファイルを送信しようとしたところ不具合が生じ、サイバー攻撃を直感したという。
何者かのヴァイルス攻撃は同紙のカスタマーサービス回線にも障害を与えた。
サンディエゴ・ユニオン=トリビューン紙によると、150年の歴史 (1868年10月10日創刊/*日本では明治維新が起きた時期に当たる) を持つ同紙が深刻な遅配を起こしたケースは極めて珍しいという。
最近では2000年と1988年のプレスルーム火災、自社発電装置がなかった第二次世界大戦中の停電など、数少ない非常事態に起因するものだった。
(2019年1月16日号掲載)