2023年8月6日
サンディエゴ在住の女性が父の被爆体験を描いた映画『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』 ( J・R・ヘッフェルフィンガー監督 ) が、米公共放送 (PBS) 系列を通じ、米各地でテレビ放映されることが決まった。
原作著者の美甘章子 (みかも・あきこ) さん (61) は「歴史的」だと評価。
広島への原爆投下から78年の8月5日 (日本時間6日) から順次放送される。
美甘さんによると、これまでにニューヨークやロサンゼルスなど約40都市、65局以上での放送が
決定。
美甘さんは、被爆の現実を伝える映画に触れることで「過去の原爆正当化論から離れ、今後の核廃
絶への意識が高まることを願っている」と期待を込めた。
『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』は父・進示 (しんじ) さん=2020年に94歳で死去=の被爆体験を基にした作品。
進示さんは19歳の時、爆心地から約1.2キロにある広島市の自宅で、建物疎開のため屋根に上って瓦を剥 (は) がす作業をしていた際に被爆。
耳や顔、背中、脚など全身に大火傷 (やけど) を負った。
美甘さんは時間をかけて進示さんの被爆体験を聞き取り、2013年に英語で書籍化。
日本語版の出版を経て、2020年に再現ドラマや原爆投下後の写真、広島ロケなどから成る51分の映画を完成させた。
日本では2021年に全国公開され、今年5月に広島で先進7か国首脳会議 (G7広島サミット) が開かれた際には核兵器廃絶国際キャンペーン (The International Campaign to Abolish Nuclear Weapons=ICAN) 主催の「広島G7ユースサミット」や、海外メディア関係者向けイベントでも上映された。
(2023年9月1日号掲載)