2023年9月5日
サンディエゴ郡当局の統計によると、同郡内の 8月の新型コロナウイルス感染者数は、今年3月以降の月間件数としては最多となる4,700件以上に達した。
これは5月、6月の感染者数の2倍強にあたる。
感染者の約1/3は60歳以上。
6月11日以降で31件の死亡が報告されている。
UCSDのレベッカ・フィールディング=ミラー准教授 (公衆衛生学) は地元メディアのインタビューに応じ、感染増加の一因として新学期開始を挙げた。
「学生・生徒が夏休みから戻り、学校という場所で多くの子供や大人が集まっている。感染度が高まるのは当然」とコメント。
しかし、症例増加の事実は否定的な側面だけではないと指摘する。
「感染の不安を抱いて検査を受ける人が増えることは、社会全体に予防・治療の意識を高めていく」と付け加えた。
米医療保健大手カイザーパーマネンテ・サンディエゴ支部のウイリアム・ソン医学博士は、地元メディアを通じて、米国や日本を含む東アジアで感染例が増えているオミクロン株派生型「EG.5」について言及した。
ギリシア神話の不和と争いの女神に因んで「エリス (Eris)」とも呼ばれるEG.5株はXBB変異体と関連している。
XBBの接頭辞が付いた亜型は2021年のオミクロン型から変異したもの。
SD郡当局が実施した廃水サンプリングの検査結果によると、EG.5も地元で広がり始めている可能性が高い。
EG.5の感染症例は未確認だが「到来は時間の問題」と警鐘を鳴らす。
同博士によると、EG.5は重症化率の変化が認められず、公衆衛生上の危険性は低いと見ているが、免疫回避力の強さは看過できないと言う。
アメリカ食品医薬品局 (FDA) はEG.5に照準を合わせた開発ワクチン使用を承認済みだが、供給時期については発表していない。
ソン博士は、当面の予防策として既存の新型コロナワクチンまたはブースターショットの接種を強く勧めている。
新しいワクチンの供給開始は9月後半になる見通し。
(2023年9月16日号掲載)