2022年9月10日
大リーグ、エンゼルスが球団売却の方針を打ち出し、大谷翔平選手のオフの動向が不透明さを増してきた。
投打「二刀流」の活躍で2年連続最優秀選手 (MVP) 争いをする大谷の価値はさらに向上。
トレード話が再燃する可能性もある。
オーナーのアート・モレノ氏が2003年にウォルト・ディズニー社から推定1億8,400万ドル (約265億円) で手に入れた球団は、経済誌フォーブスが出した資産価値では22億ドル (約3,168億円) と約12倍に増加。
メジャーのビジネス拡大の時流に乗って成功を収めた。
突然の売却発表は唐突に映るが、伏線はあった。
老朽化が進む本拠地エンゼルスタジアムの再開発が頓挫。
球場周辺の整備も含めて3億2,000万ドルを投じる計画は、アナハイム市の前市長の汚職で白紙になった。
76歳と高齢のモレノ氏は後継者が不在なこともあり、スター選手のトラウトや大谷がいる今が絶好の「売り時」と判断したようだ。
買い手にはプロバスケットボールNBAウォリアーズのオーナー、ジョー・レイコブ氏らが報じられる。
2023年オフにフリーエージェントになる大谷選手の行方は、新オーナーの意向次第とも言える。
2020年にメッツを買収したスティーブ・コーエン氏のような大富豪なら大金を投入し、大谷が望む勝てる集団への変貌も夢ではない。
一方、エンゼルス同様に売却を検討しているナショナルズがこの夏に強打者フアン・ソト外野手との大型契約を諦めてパドレスに放出したように、再建に舵 (かじ) を切れば大谷選手をトレードに出すシナリオも現実味を帯びてくる。
大谷選手は「経営に関しては専門外なので分からない。
今シーズンをやり切るだけ」と雑音を振り払った。
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(2022年10月1日号掲載)