2022年11月11日
日本政府は11月10日、新型コロナウイルスの感染「第8波」に備えて、都道府県が出す「対策強化宣言」を設け、住民への外出自粛の要請を強化できるようにする方針を固めた。
従来の対策では高齢者などだった対象を若者にも広げ、医療逼迫が迫った場合は「医療非常事態宣言」で出勤の大幅抑制などを呼びかける。
新規感染者数の増加を受け、今夏の流行「第7波」を上回る感染状況になった場合の対応を具体化するという。
新型コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織は、ピーク時に新規感染者が1日当たり26万人に達した第7波を超えて、現在の感染が拡大する可能性があると指摘。
加藤勝信厚労相は、第7波と同様のスピードで感染拡大が継続した場合、2週間後には前回のピークを超える可能性があると述べた。
インフルエンザとの同時流行の恐れもある。
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従来株に加えてオミクロン変異株にも対応する2価ワクチン (bivalent booster) を開発しているファイザー社 (米) とビオンテック社 (独) は、オミクロンBA.4/BA.5亜種に対する免疫反応が、両社のオリジナルワクチンを接種した人に比べ、新しい2価ブースターを接種した人が「実質的に高い」ことを11月4日に発表した。
CNNが報じた。
オリジナルのコロナウイルス株とオミクロンBA.4およびBA.5亜種を対象とする2価ブースターは、9月上旬に米国で実用されるようになった。
ファイザー/ビオンテックはニュースリリースで、2価ブースターはオリジナルワクチンと比べて、55歳以上でオミクロンBA.4/BA.5亜種に対する中和抗体のレベルが約4倍高くなったと発表。
ただし、このデータは専門家による相互審査のプロセスを経ていない。
どのようなワクチンを接種しても免疫はできるが、完全な予防効果が得られるまで数週間を要する。
今回のデータでは、治験参加者が最新のブースターを接種してから1か月後、オミクロンBA.4/BA.5中和抗体は、55歳以上の成人ではブースター前レベルから13.2倍に増加した。
また、オリジナルワクチンを接種した高齢者の2.9倍増に対し、18歳~55歳の成人では中和抗体がブースター前と比較して9.5倍に増加した。
オミクロンBA.5亜種は7月以降、米国の新型コロナ感染を支配してきた。
米国疾病対策予防センター (CDC) のデータによると、他のオミクロン亜種が混在する中、現在ではBA.5が米国の新規感染者の49.6%を占めている。
ファイザー/ビオンテックは、更新されたブースターの大規模な臨床試験を継続しており、他の亜種ウイルスに対するワクチンの詳しいテスト結果を確認中だという。
専門家は、この秋にブースターを接種することは、感染歴のある人はもちろん、オリジナルワクチンを受けた人にとって防御力を強化する最善の手段であることを強調している。
5歳の子供でもブースター接種を受けることができる。
これまで、米国では5歳以上の約2,630万人が最新のブースターを接種した。
10月初旬にCDCが発表した分析では、米国で現在のペースを凌ぐ多くの人が年内にブースターを受けた場合、今年の秋~冬にかけて新型コロナ関連による死者を9万人ほど抑えることができるという。
だが、10月上旬のペースに留まった場合、米国ではこの冬、関連死者数が1日あたり1,000人を超えるピークに達する危険性があるという (コモンウェルス財団分析)。
*Picture:© Ralf liebhold / shutterstock.com
(2022年12月1日号掲載)