2022年11月1日
11月1日から、訪日客や海外から帰国する日本人らの入国手続きを支援するサイト「Visit Japan Web」 (https://vjw-lp.digital.go.jp/) に、新型コロナウイルスのワクチン接種証明など検疫情報が登録できるようになった。
これまでは入国審査や税関の情報が対象だったが、利便性向上のため改修した。
支援サイトは昨年12月に開設。
入国前に入力すれば、空港到着後の書類提出が不要になる。
改修では、日本語と英語だけだった対応言語に中国語と韓国語を追加。
オフラインでの利用もできるようになった。
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今秋から来春にかけて、季節性インフルエンザが流行する懸念が強まっている。
2年以上も大規模な流行がなかったことから、集団免疫の低下も指摘されている。
新型コロナウイルスとの同時流行の恐れもあり、インフルエンザに感染しやすい子どもの健康維持には特に注意が必要だ。
子どものインフルエンザの特徴と予防法について、福島県立医科大小児科学講座の佐藤晶論 (さとう・まさとし) 医師は次のように話す。
「季節性インフルエンザの感染者数は例年、10歳未満が最多。学校という密な環境で生活している上、それまでのワクチンの接種回数も少ないため、免疫が十分獲得できていない子どもは感染しやすい」。
2年間もインフルエンザの流行がなかった要因として「新型コロナの感染対策でマスクの着用や手洗いが例年以上に徹底されたこと」を挙げた。
世界的にもインフルエンザの流行は過去2シーズン低水準だったが、オーストラリアでは秋季に入った今年4月頃からインフルエンザが猛威を振るった。
インフルエンザの主な症状は38℃ (100.4℉) 以上の発熱、頭痛、鼻水、咳 (せき)、喘息 (ぜんそく) など。
基礎疾患がある場合は重症化するリスクが高いため、特に注意が必要となる。
稀 (まれ) に急性脳症や熱性痙攣 (けいれん) を起こすことがある。
佐藤医師は「新型コロナとの同時流行も心配。子どもが高熱を出しても、家庭に抗原検査キットがないなど判断に迷う場合は医療機関を受診すること。発症後2日以内に抗インフルエンザ薬を服用すると、発熱期間が1~2日程度短縮するほか、合併症のリスクを減らす効果がある」と話す。
さらに「インフルエンザ感染を予防するために、高齢者と子どもは流行前にインフルワクチンを接種してほしい」と強調している。
また、マスクの着用、外出後の手洗い、適度な湿度の維持などの感染対策に加え、「十分な休養とバランスの取れた栄養も大切。インフルエンザが流行したら人混みを避け、繁華街への外出は控えるようにしてほしい」と注意を喚起している。
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バイデン大統領は10月25日、ホワイトハウスで新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した改良ワクチンの接種を受けた。
新型コロナワクチンの接種は5回目。
企業に職場での接種を検討するよう求めている。
米国では新型コロナ感染者の入院や死亡は増えていないが、インフルエンザや、子どもの風邪の一因となるRSウイルスが広がっており、冬に医療が逼迫する恐れもある。
バイデン氏は7月下旬に新型コロナに感染。
疾病対策センター (CDC) はワクチンへの免疫反応を改善するため、発症から接種まで3か月空けることを提案しており、今回はこれに従ったとみられる。
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米国では新型コロナ感染者の入院や死亡は急増していないが、インフルエンザや、子どもの風邪の一因となるRSウイルスが広がっており、冬に医療が逼迫する恐れもある。
また、新型コロナの新規感染率が緩やかな下降線を示しており、BA.5の割合は下がり止まり、横ばい状態となっているものの、BA.4.6、BQ.1、BQ.1.1、BF.1 などのオミクロン株の亜系統の割合が増加傾向にある。
これらの変異株はBA.5よりもワクチン接種や過去の免疫を回避して感染する免疫逃避能が高いと言われている。
世界保健機関 (WHO) も、現時点では大きなリスクの変化はないとの知見を公表している。
アジアではBS.1系統の検出例が増加。
インドやシンガポールでは特に免疫回避の傾向が強い XBB という組換え体が広がっている。
米国内でもXBB組換え体が広がる可能性がある。
組換え体は、2種類以上の変異株に同時に感染することにより、体内でそれらの遺伝子が混ざり合って発生する。
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サンディエゴ郡保健福祉課によると、郡中北部に住む55歳の男性が10月15日にインフルエンザで死亡した。
2022-23年シーズンでSD郡における最初のインフルエンザ関連死となった。
男性には基礎疾患があり、インフルエンザの予防接種は受けていなかった。
COVID-19の検査では陰性だった。
郡当局によると、インフルエンザ症例は10月中旬から増え続けている。
10月16日~22日の1週間で確認されたインフルエンザ患者は856人で、591人の新規感染が報告された前週と比較すると、約45%増となっている。
同郡の公衆衛生担当官ウィルマ・ウーテン博士は「残念ながら、毎年秋と冬にインフルエンザで死亡するケースがあるが、大流行から身を守るために、市民一人一人が自分の役割を果たす (自発的に予防接種を受ける ) ことを勧める」と述べた。
生後6か月以上なら誰でも、毎年インフルエンザの予防接種を受けることを推奨している。
特に、喘息、糖尿病、肺疾患などの慢性疾患を持つ人、妊婦、65歳以上の高齢者、感染リスクの高い人と同居、または介護している人には、ワクチン接種が強く求められている。
インフル免疫ができるまで接種後2週間ほどかかるという。
SD郡当局によると、2021-22年のインフルエンザシーズンの死者は8人、感染者は4,192人に上った。
2020-21年のシーズンには死者2人、感染者848人が報告されている。
(2022年11月16日号掲載)