2021年12月10日
アマゾン・コムがレジのない実店舗を増やしている。
コンビニ「アマゾン・ゴー」とスターバックスとの協業店舗 (Starbucks Pickup with Amazon Go) をニューヨークに開いたほか、傘下の高級食品スーパーにも導入する計画だ。
米国では新型コロナウイルス禍からの経済活動の再開で人手不足が懸念されており、レジなし店舗に注目が集まっている。
2018年から米国で展開するアマゾン・ゴーでは、自動改札のようなゲートにスマートフォンのアプリや登録済みクレジットカードなどをかざして入店すれば、棚から商品を手に取ってそのまま店の外に出ることができる。
店内のセンサーやカメラなどで購入したものを把握する仕組みだ。
11月中旬にマンハッタンにオープンしたスターバックスとの協業店舗は、スターバックスのアプリから注文するとレジを経ずに飲み物を受け取れる。
軽食や菓子なども取り扱っており、同様の店を2022年中に2店舗オープンする。
アマゾンは無人決済システムを食品スーパーのアマゾンフレッシュ (Amazon Fresh) など大型店にも取り入れており、英国でも展開中だ。
他の企業への外販も進めている。
2022年からは傘下の米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットでも展開する。
一方、全米食品商業労働組合 (UFCW) は、レジなし店舗の拡大で雇用が失われるとアマゾンを非難する声明を出した。
アマゾンは「ホールフーズではこれまでと同様の雇用を確保する。
従業員はむしろ客との対話に多くの時間を割くことができる」と述べ、懸念を払拭しようとしている。
レジで会計をしなくても済むスーパーは日本でも登場。
トライアルホールディングス (福岡市) は、ショッピングカートに備え付けた機器で商品のバーコードを読み取って自動で決済されるシステムを開発した。
通常はカートに入れた商品をレジに持って行き会計を済ませるが、このシステムも商品が入ったカートで「クイックゲート」を通過するだけ。
自動でプリペイドカードから購入金額を引き落とす。
利用時には会員証をかざし、4桁の識別番号の入力が必要で、2段階のセキュリティー対策を導入している。
担当者は「客はレジ待ちをしなくて済み、店側は作業の効率化やコスト削減につながる」と話す。
大学内や地域限定で顔認証技術を使った決済サービスの実証実験も始まった。
JR東海や大阪メトロは、顔の情報を登録しておけば、切符やICカードを使わずに、顔パスで改札を通過できるシステムの検証をしている。
スマホアプリを利用したモバイル決済は身近になった。
財布だけでなく、スマホすら持たずに買い物ができるようになる日が到来しつつある。
Picture:© Chie Inoue / shutterstock.com
(2022年1月1日号掲載)