2020年11月29日
大統領選で、例年は手続きにすぎない選挙人による投票に注目が集まっている。
共和党のトランプ大統領は根拠のない大規模不正を主張し、負けを認めない姿勢を維持しつつも、12月14日の選挙人投票で敗北が確定すれば退任すると明言。
さらなる奇策が残っていると示唆するが、選挙人投票が順調に進めばトランプ氏への最後通告となる。
「もちろんそうする」
トランプ氏は11月26日、選挙人投票で民主党のバイデン次期大統領の当選が確定したらホワイトハウスを去るか記者団に問われ、こう答えた。
「(任期切れの来年) 1月20日までに多くのことが起きる」と依然抵抗の構えも見せるが、打つ手はほぼないのが実情だ。
大統領選では、12月8日までに各州などが再集計や係争を解決し選挙結果を承認する規定になっている。
このためトランプ氏はバイデン氏が接戦を制した州で承認を遅らせ、無効にしようと訴訟や再集計要求、州議会への工作を連発した。
しかし、ペンシルベニア、ミシガン、ネバダの各州は既にバイデン氏勝利を承認。
ウィスコンシン州では一部地区で再集計されているが、バイデン氏勝利の結果は覆らない見通しで、トランプ氏の試みは不発となっている。
全州で結果が承認されれば、トランプ氏の打開策はほぼ消え、12月14日に各州の承認結果に基づく選挙人投票で決まる。
間接選挙の大統領選では各州と首都ワシントンに計538人の選挙人が割り当てられ、過半数を取った候補が当選する。
米メディアによると、バイデン氏は306人、トランプ氏は232人をそれぞれ獲得する見込み。
選挙人投票の結果は12月23日までに上院議長を兼務するペンス副大統領に送られ、来年1月6日に上下両院が合同で結果を確認して次期大統領が公式に認定される。
新大統領は1月20日に就任式に臨む。
(2020年12月16日号掲載)