ワクチン支援表明しない日本、先進7か国で唯一
「国連ミレニアム開発目標」 に非協力的、国際社会から非難も
2015年3月1日貧しい国に暮らす子ども向けワクチン調達のため、各国政府などが出資する国際組織「GAVIアライアンス」 (本部 : ジュネーブ) が募る2016~2020年の活動資金に対して、先進7カ国 (G7) で日本が唯一、拠出を表明していないことが3月1日に分かった。
今年は、各国首脳が秋にニューヨークに集まり貧困や飢餓の撲滅を目指した「国連ミレニアム開発目標 (MDGs)」の後継目標を決める重要な年。
貧困対策に非協力的だとして、国際社会から非難の声が上がりかねない事態だ。
外務省国際保健政策室は、拠出をやめるわけではないが、年ごとに予算を組む日本の現行ルールでは2016年以降の拠出要請には2014年度の時点で明確にできないと理由を説明する。
ただ過去には、長期的な資金提供を事前に宣言し、後の予算編成に反映させるという対応を取った例は多くある。
拠出表明できないのは、もともと国際的な医療支援の予算が少ない中で、エボラ出血熱対策への支援が増えたことも背景にありそう。
GAVIは2000年に設立。
2014年末までに各国政府や民間から約120億ドル (約1兆4000億円) を集め、先進国ならば普通に受けられる麻疹 (はしか) や肺炎球菌などの基本的なワクチンを、最貧国の4億人以上の子供に提供した。
日本も2011年から拠出を始め、GAVIによると、2014年までに約3600万ドル (約43億円) を提供している。
GAVIは1月末、2016年からの5年間に75億ドル (約9000億円) を集めるという目標を掲げ、1月末にベルリンで各国を集めた増資会合を開催。
英国が約23億ドル (約2750億円)、米国が8億ドル (約960億円) など、日本を除くG7各国が軒並み支援を表明した。
中国や韓国など日本の近隣諸国も拠出を決めた。
GAVIのセス・バークレー事務局長は「増資会合までに日本の拠出表明が出なかったことは非常に残念だ。
今後も資金協力を期待し続けたい」とコメントした。
(2015年3月16日号掲載)