Tuesday, 25 June 2024

武装集団と衝突21人死亡

 

武装集団と衝突21 人死亡

メキシコ国境、治安悪化

2019年12月3日

メキシコ北部コアウイラ州で12月1日までに、麻薬組織の武装集団と地元治安当局との衝突があり、双方で少なくとも21人が死亡した。

同日で発足1年を迎えた左派ロペスオブラドール政権は、治安問題への対応の遅れで批判を受けており、さらに風当たりが強まりそうだ。

トランプ政権もメキシコの麻薬組織をテロ組織に指定する方針を表明し、移民問題に次ぐ両国関係の新たな火種になりそうだ。

ロペスオブラドール政権は米軍の越境による取り締まりなどを警戒し「内政干渉」 と猛反発しているが、米国の圧力がさらに強まる可能性もある。

ロペスオブラドール大統領は1日、メキシコ市中心部で行われた就任1年の記念式典で「メキシコは自由で主権ある国家だ。

外国から、いかなる内政干渉も受け付けない」と主張し、テロ組織指定を認めない姿勢を改めて示した。バー米司法長官が近く協議のためメキシコ入りする予定。

衝突の詳細は不明だが複数の警官も死亡した。

メキシコでは先月、武装集団の襲撃を受けた米国人9人が死亡。

対立する麻薬組織と間違えられた可能性が高いとみられている。

10月には当局が同国最大級の麻薬組織拠点を急襲したが、反撃を受けて失敗に終わった。

トランプ大統領は先月、メキシコで強い勢力を保つ麻薬組織をテロ組織に指定する方針を表明。

これに対してメキシコのロペスオブラドール政権は、米国による 「内政干渉だ」 と強く反発、両国関係が再び緊張し始めた。

メキシコでは、米国がテロ指定に踏み切れば、国境を越えた取り締まりにもつながりかねないと懸念が拡大。

トランプ氏が来年の大統領選に向け、国境問題で再び圧力を強めてくるのではとの警戒も広がっている。

トランプ氏は11月26日に公開されたラジオ番組で、メキシコの麻薬組織に「毎年多くの米国人が殺されている」と強調し、テロ指定については約3か月間、政権内で協議してきたと明らかにした。

一方、ロペスオブラドール大統領は「(治安対策などの) 協力はイエスだが、干渉はノーだ」と明言。

発足1年を迎えたロペスオブラドール政権は麻薬組織との武力対決を避け、貧困対策強化で治安改善を図ろうとしているが、国内では「生ぬるい」との批判が高まっている。

トランプ氏もメキシコの治安対策には批判的。

同国で11月4日、米国人9人が武装集団に殺害された際には 「(麻薬組織との) 戦争の時だ」と表明。だが、ロペスオブラドール氏は「外国の干渉は必要ない」と一蹴した。


(2019年12月16日号掲載)