Wednesday, 06 November 2024

トランプ氏、中国批判強化

再選へ新型コロナ責任転嫁

2020年5月2日

© Evan El-Amin / shutterstock.com
トランプ大統領は4月30日、COVID-19の感染拡大をめぐり、制裁関税発動の可能性も示唆して中国への批判を強めた。

トランプ政権の対応が遅れて国民の不満が噴出し、11月の大統領選で鍵を握る接戦州で支持を落としており、中国に責任を転嫁したい思惑が強くにじむ。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に「中国は私に再選してほしくないと思っている」と断言。

これまで貿易協議の進展を挙げて中国との「良好な関係」をアピールしてきたが「もはや貿易は二の次だ。新型コロナで起きた状況は許せない」と中国を非難した。

背景には支持率の伸び悩みがある。

4月中旬までほぼ毎日、定例記者会見を続けて危機対応に当たる姿を誇示してきたが、逆に検査態勢の不備などを追及され、世論調査で不支持が支持を上回る状況が継続。

フロリダ州など大統領選の接戦州でも、野党民主党のバイデン前副大統領に先行される苦しい展開が続く。

4月末に定例記者会見を中止したのと同時に、中国への強硬姿勢が目立ち始めた。

記者団との質疑のたびに「ウイルスは中国で封じ込めるべきだった」などと責任追及を繰り返している。

保守層や対中強硬派の与党共和党議員の間でも中国責任論は根強く、支持基盤を強化する効果はあるとみているようだ。

トランプ氏は、当初は中国の新型コロナ対応を称賛していた点を記者団に指摘されると「私ほど中国に厳しい者はいない。大統領に当選した要因の一つでもある」と主張した。

また、トランプ氏は同日、世界保健機関 (WHO) について中国寄りだと改めて批判し、新型コロナウイルス対応をめぐり「全世界で何十万もの人々が死に至るミスを犯した。恥を知るべきだ」と強い口調で非難した。

トランプ氏はWHOについて「中国の広報機関に成り下がっている」と指摘。

WHOにも新型コロナの世界的な感染拡大を招いた責任があるとの認識を示し「最悪のミスを犯したのに言い訳するべきではない」と主張した。

トランプ政権は、WHOが情報公開に消極的だった中国の説明をうのみにしたと批判、対策が遅れて中国から世界への感染拡大につながったとしてWHOと中国の責任について調査している。

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(2020年5月16日号掲載)