2022年8月27日
カリフォルニア州の環境規制当局は8月25日、ガソリン車やディーゼル車の新車販売を2035年までに事実上禁じる規制案を決めた。
地球温暖化防止策として、温室効果ガスを排出しないゼロエミッション車の割合を2026年から段階的に引き上げ、2030年に68%、2035年に100%とするよう自動車メーカーに義務付ける。
新たな規制下で販売できるのは電気自動車 (EV) や水素を使った燃料電池車 (FCV) などで、外部から充電できるプラグインハイブリッド車は、電池だけで約80キロ以上走行できる条件を満たせば一部認められる。
連邦政府の承認を得て最終決定となる。
バイデン政権は2030年までに新車販売の半数をゼロエミッション車とする目標を掲げ、英国やフランスなども同様の施策を打ち出している。
米国内最大の経済規模を誇るカリフォルニア州はこれまでにも厳しい排ガス基準を打ち出しており、他州も追随する可能性がある。
米メディアによるとワシントン、マサチューセッツ両州は同様の施策を採用する姿勢を示しており、日本メーカーにも大きく影響しそうだ。
CA州の環境規制当局は声明で、新たな規制が掲げる目標は「野心的だが達成可能だ」と指摘し、環境対策で米国内や世界を牽 (けん) 引すると意義を強調した。
日本メーカー幹部は「HV禁止はこれまでの経緯から想定の範囲内」と冷静に受け止めている。
ニューサム知事は2020年9月、2035年までに脱「化石燃料車」の実現を目指す行政命令に署名。
CA州によると、同州で排出される温室効果ガスの50%超を運輸部門が占めている。
既に所有している車や中古車の売買は規制対象とならない。
日本メーカー EV化加速へ、HVも禁止の対象
カリフォルニア州のゼロエミッション政策を受け、日本勢は電気自動車 (EV) 化の加速を一段と迫られそうだ。
日本メーカーが技術的に優位に立つハイブリッド車 (HV) も基本的に禁止の対象となる。
トヨタ自動車は8月23日、カリフォルニア州が独自に設ける自動車の排ガス規制基準を認めると発表した。
トヨタは排ガス規制をめぐる訴訟でトランプ前政権を支持し、一時は同州と対立関係になったが、協調路線に転じた。
ホンダは8月29日、韓国電池大手のLGエナジーソリューションと米国で合弁会社を2022年中に設立し、EV用リチウムイオン電池を生産すると発表した。
両社合わせて約44億ドル (約6,100億円) を投資して米国に生産工場を建設し、2025年中の量産開始を予定している。
急速に成長する北米のEV市場で、安定的に電池を現地調達できる体制を整備する。
ホンダの合弁会社への出資額は約17億ドル。
出資比率は49%となる。
工場建設には出資以外の資金も投じられる。
同工場で生産する電池は全量をホンダの北米工場に供給する。
2023年初頭に着工する予定。
ホンダの2023年3月期の業績に与える影響は軽微としている。
北米はホンダの世界販売の約3割を占める主力市場で、EVでもシェア拡大を目指す。
ホンダは、2040年に世界で販売する新車の全てをEVとFCVにする計画を掲げている。
2030年までにEV30車種を世界で発売し、生産台数を年間200万台超に増やす方針だ。
(2022年9月16日号掲載)