2022年5月6日
米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会 (FRB) は5月4日、連邦公開市場委員会 (FOMC) を開き、主要政策金利の誘導目標を0.5%引き上げることを決めた。
利上げは2回連続で、通常の2倍となる0.5%の大幅引き上げはITバブル時の2000年5月以来、22年ぶり。
約9兆ドル (約1,160兆円) に膨れ上がった保有資産の縮小も6月から開始し、記録的な物価高の抑制へ金融引き締めを一気に加速する。
急速な利上げにより、高利回りを求める投資マネーがドルに流入し、世界の金融市場に異変をもたらす恐れがある。
ドルを大量に借り入れている新興国などは利払い負担が増えて国家財政を圧迫することも想定されるほか、日米金利差拡大で円安ドル高が進み、日本の消費者がさらなる輸入品の値上がりに直面する可能性もある。
パウエルFRB議長はFOMCの声明で「インフレのリスクに強い関心を寄せている」と強調した。
景気を腰折れさせかねない大幅利上げと「量的引き締め」と呼ばれる資産縮小の同時決定は異例。
パウエル氏は「米経済は力強い」として、景気後退は招かないと主張した。
FRBは今回、0.25~0.5%だった短期金利の指標フェデラルファンド (FF) 金利の誘導目標を0.75~1.0%に引き上げた。
ロシアのウクライナ侵攻に加え、新型コロナウイルス流行に伴う中国での都市封鎖が、物価高に拍車をかけると分析した。
パウエル氏は0.75%の利上げは「積極的に検討していない」と否定した。
FRBの保有資産については、米国債と住宅ローン担保証券 (MBS) を合わせて、6~8月はまず月475億ドルを上限に減らす。
9月以降は上限を950億ドルに拡大する。
量的引き締めを実施した前回2017~19年の資産縮小規模は最大月500億ドルで、2倍近い減額ペースとなる。
(2022年5月16日号掲載)