2022年11月4日
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会 (FRB) は11月2日、主要政策金利の0.75%の引き上げを決めた。記録的な高インフレを抑制するため、通常の3倍の上げ幅を4会合連続で決定した。
次回12月の会合での利上げペース減速に含みを持たせつつ、金利のピークが将来的に従来予想の4.6%よりも高くなる可能性に言及した。
FRBは利上げを決めた連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の声明に「度重なる金融引き締めの影響や、物価などへの効果が時間差で表れることを考慮」と記載し、景気動向を見極めることを強調。
パウエル議長は記者会見で、物価抑制に十分な金利水準に近づけば「利上げペースを減速することが適切」と述べる一方で「9月に予想した金利水準を今後上回る可能性がある」と指摘した。
FRBが今年3月に事実上のゼロ金利政策を解除して以降、利上げは6会合連続。
短期金利の指標フェデラルファンド (FF) レートの誘導目標を今回3.75%~4.0%とする。
米国債など保有資産の縮小も続け、市場に出回る資金を減らす。
急激な利上げは個人消費や設備投資を減速させ、景気後退につながるとの懸念が強まっている。
パウエル氏は、物価を安定させつつ景気減速を抑制できる「道筋が狭まっている」と述べ、経済悪化の可能性を認めた。
それでも高水準が続くインフレを抑制するため「利上げの停止は時期尚早」と強調。
「金融引き締めを十分に行わなかったり、早々に撤回したりするような間違いは犯したくない」と語り、引き続き、利上げが必要との考えを改めて示した。
(2022年11月16日号掲載)