2024年9月1日
11月に迫る大統領選で、保守とリベラルの価値観の対立を背景にした「文化戦争」がLGBTQの性的少数者の権利をめぐって激化している。
共和党候補トランプ前大統領は8月30日、トランスジェンダー (性別変更者) の選手が女子競技に参加するのは「馬鹿げている。
女性にとって屈辱的だ」と批判し、許すべきではないと改めて主張した。
ワシントンでの保守派組織の会合で語った。
AP通信によると、トランプ氏は米社会でトランスジェンダーの受け入れが進んでいると嘆き、性別適合のための医療は制限すべき
だとの考えを示した。
多様性ある米国を追求し、LGBTQの権利を守ると公約する民主党候補ハリス副大統領とは対照的な姿勢を見せた。
8月11日に閉幕したパリ五輪で性別をめぐる論争が影を落としたほか、開催中のパリ・パラリンピックでもトランスジェンダーを公表する選手の出場をめぐり「不公平だ」との議論がある。
トランプ氏は「女子競技に男子が出場することを誰が望むだろうか」と述べた。
30日の会合は、性自認に寛容な教育を批判する草の根組織マムズ・フォー・リバティー (Moms for Liberty=自由を求めるママたち) が開催。
リベラル系人権団体の南部貧困法律センター (Southern Poverty Law Center=SPLC) は、この組織を極右団体に分類している。
トランプ氏は米国に流入する不法移民が学校を駄目にしているとも指摘。
「彼らは教室に入り込み、病気にかかり、英語も話せない。私たちの国は汚染されている」と語った。
マムズ・フォー・リバティーは2021年にフロリダ州で発足。
全米50州のうち48州で13万人の会員を持つとされる。
各地の教育委員会で保守派の委員を増やすことを目指すほか、性自認などをめぐってリベラルな教育を禁止するよう地方自治体や州の議会に働きかけている。
*Picture: © Yahor Pakhantsau / shutterstock.com
(2024年9月16日号掲載)