2020年11月26日
11月24日のニューヨーク株式市場 (NYSE) のダウ工業株30種平均は続伸し、史上初めて3万ドルの大台を突破して前日比454.97ドル高の30,046.24ドルで取引を終えた。
バイデン次期大統領が政権移行作業を本格化させたことを好感。
新型コロナウイルスワクチン開発の進展を背景に景気回復への期待が根強く、買いが優勢となった。
歴史的な超低金利下で、運用する行き場を失ったマネーが株式市場に急激に流れ込んだ。
ただ、足元では感染者が急増し、失業率が高止まりするなど実体経済とのギャップも大きい。
いち早く危機を脱したかに見える市場の先行きには懸念も漂う。
ダウ平均はリーマン・ショック後の2009年3月に6,600ドルを割り込んだ後、大規模な金融緩和を背景に右肩上がりで上昇。
トランプ政権発足直後の2017年1月に初の2万ドルに到達した。
今年2月には3万ドルに迫ったが、コロナの大流行で経済活動の制限が広がり、3月下旬に18,000ドル台まで急落。
その後、米政府による経済対策や連邦準備制度理事会 (FRB) が導入した事実上のゼロ金利政策により、再び上昇基調に。
底値から約8か月で11,000ドル超上昇した。
ダウ平均は11月24日午前の取引時間中に初めて3万ドル台をつけた。
ハイテク株主体のナスダック総合指数の終値は12,036.79。
幅広い銘柄のSP500種株価指数は3,635.41と最高値を更新した。
バイデン氏が一部閣僚人事を発表。
政策が予測しにくいトランプ大統領と比べて政治リスクが後退した。
コロナワクチンの開発をめぐって今月上旬以降、経済活動の早期正常化につながる発表が相次いだことも投資家心理を支えた。
11月24日は石油のシェブロンや金融のJPモルガン・チェースなど景気に敏感とされる銘柄の上昇が目立った。
投資家のリスク志向を反映して、米原油先物相場は1バレル=44ドル台に上昇し、約8か月半ぶりの高値で取引を終えた。
一方、安全資産とされる米国債や金先物は売られた。
(2020年12月16日号掲載)