NY 邦人医師、惨状を警告
2020年4月12日
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「患者の命を決定づける決断を毎日迫られる」。ニューヨーク市ブロンクスのモンテフィオーレ病院で新型コロナウイルス感染者の治療に当たる日本人の集中治療医、コルビン麻衣さん (36) が医療現場の惨状を訴えた。
「うちの病院の医療従事者だけで100人以上感染している」。
共同通信の電話取材に対し「日本は手遅れになる前にNYから学んでほしい」と警告した。
同病院が最初に新型コロナ患者を受け入れたのは3月11日。
感染者は激増を続け、4月22日現在、NY市内だけで14万人超、死者も11,000人に迫る。
病院も「コロナの入院患者だけで約500人」。
手術は全て中止に。
「46あった集中治療室 (ICU) は全てコロナ用にしたが足りず、会議室まで改装して100以上になった」
最初はどう対応したらいいかも分からなかった。
初の患者受け入れから間もないころ、ある患者は平熱が数日続き、改善しているように見えたが「少し血圧が下がったら、1時間半で熱が43℃まで上がった。体温計が壊れているかと思った」。
過剰な免疫反応「サイトカインストーム」が原因。
間もなく亡くなった。
何もできない無力感。
死の間際に5分だけ許された面会に母親を呼んだが間に合わなかった。
「母親は泣き崩れ、私は隣で立っているだけ。掛ける言葉もなく、一人泣いた」。
「5分間ルール」も今ではなくなり、見舞客は病院に入れない。
「家族に一目も会えずに終わる人もいる」
ICUが足りず、一般病棟で待つ患者が何人もいる。
「その中から1人を選ぶ問題に常に直面している。年齢や基礎疾患の有無などから生存の可能性が高い人を選ぶが、ICUに入れずそのまま亡くなる患者も多い」
患者が心肺停止になった際の判断も難しい。
普段なら胸骨圧迫による蘇生措置を「やれるだけやる」が、新型コロナの患者への胸骨圧迫は「医療従事者へのリスクも高い。2分でやめるのか。
5分か。
その判断をしないといけない」と語る。
今や医師は「何科であろうがコロナの患者を診ている」状態。
一般病棟では「1人の看護師が10人の患者を担当し、回診の3時間後に戻ったら心肺停止になっていた」という例も。
患者の容体急変を知らせる院内放送はしょっちゅう鳴り響く。
「同僚が何人も感染し自分もいつ同じ目に遭うか分からない」。
長男 (4) と長女 (1) にうつす恐れもあり、家でもマスクを着けている。
「日本の人には身近に感じられないかもしれないが、家族が重症化してから悔やんでも遅い」
*写真はイメージ
•新型コロナウイルス関連の最新情報は随時発信している 『ゆうゆうニュースレター』 をご覧ください
(2020年5月1日号掲載)
「うちの病院の医療従事者だけで100人以上感染している」。
共同通信の電話取材に対し「日本は手遅れになる前にNYから学んでほしい」と警告した。
同病院が最初に新型コロナ患者を受け入れたのは3月11日。
感染者は激増を続け、4月22日現在、NY市内だけで14万人超、死者も11,000人に迫る。
病院も「コロナの入院患者だけで約500人」。
手術は全て中止に。
「46あった集中治療室 (ICU) は全てコロナ用にしたが足りず、会議室まで改装して100以上になった」
最初はどう対応したらいいかも分からなかった。
初の患者受け入れから間もないころ、ある患者は平熱が数日続き、改善しているように見えたが「少し血圧が下がったら、1時間半で熱が43℃まで上がった。体温計が壊れているかと思った」。
過剰な免疫反応「サイトカインストーム」が原因。
間もなく亡くなった。
何もできない無力感。
死の間際に5分だけ許された面会に母親を呼んだが間に合わなかった。
「母親は泣き崩れ、私は隣で立っているだけ。掛ける言葉もなく、一人泣いた」。
「5分間ルール」も今ではなくなり、見舞客は病院に入れない。
「家族に一目も会えずに終わる人もいる」
ICUが足りず、一般病棟で待つ患者が何人もいる。
「その中から1人を選ぶ問題に常に直面している。年齢や基礎疾患の有無などから生存の可能性が高い人を選ぶが、ICUに入れずそのまま亡くなる患者も多い」
患者が心肺停止になった際の判断も難しい。
普段なら胸骨圧迫による蘇生措置を「やれるだけやる」が、新型コロナの患者への胸骨圧迫は「医療従事者へのリスクも高い。2分でやめるのか。
5分か。
その判断をしないといけない」と語る。
今や医師は「何科であろうがコロナの患者を診ている」状態。
一般病棟では「1人の看護師が10人の患者を担当し、回診の3時間後に戻ったら心肺停止になっていた」という例も。
患者の容体急変を知らせる院内放送はしょっちゅう鳴り響く。
「同僚が何人も感染し自分もいつ同じ目に遭うか分からない」。
長男 (4) と長女 (1) にうつす恐れもあり、家でもマスクを着けている。
「日本の人には身近に感じられないかもしれないが、家族が重症化してから悔やんでも遅い」
*写真はイメージ
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(2020年5月1日号掲載)