米国、華為との取引禁止、ハイテク本丸に打撃
日本企業に警戒感、中国「権利守る」 と反発
2019年5月23日
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トランプ政権は5月15日、中国通信機器大手の華為技術 (ファーウェイ) と米企業との取引を事実上禁止する措置を打ち出した。
米中は高速大容量の第5世代 (5G) 移動通信システムや人工知能 (AI) など最先端のハイテク技術をめぐって激しい主導権争いを展開。
米国は中国の発展戦略「中国製造2025」の本丸であるファーウェイを米市場から排除し、徹底的に打撃を与える姿勢を鮮明にした。
米国が圧力を強めればファーウェイに部品を供給している日本企業も同調せざるを得ず「業績への打撃となってしまう」 (日本国内メーカーの中堅幹部) と警戒感を強めた。
中国商務省の高峰報道官は記者会見で、安全保障を「保護貿易の道具にすべきではない」と米政権を批判し「必要な措置を取り、中国企業の合法的な権利を守る」と強調した。
米商務省は、ファーウェイと子会社に、米企業が電子部品などを政府の許可なく輸出することを禁じると発表。
さらに、トランプ氏は同社を念頭に安全保障上の脅威があると認める通信機器を米企業が使用するのを禁じる大統領令に署名した。
中国のハイテク企業をめぐっては、米商務省が昨年4月、中国の通信機器大手、中興通訊 (ZTE) が北朝鮮などに対する輸出規制に違反したとして、米企業がZTEに部品などを輸出するのを7年間にわたって禁じる制裁を発動。
部品が入手できなくなったZTEは主力製品の生産を停止し、経営危機に陥った。
商務省はZTEに比べ格段に経営規模が大きいファーウェイも同様の措置で追い込む構えだ。
中国の劉昆 (リュウ・コン) 財政相は、共産党の政治理論誌で「戦略的に鍵となる分野の技術革新を支える」との文章を発表、今後もハイテク支援を強化していく考えを示した。
米政権は昨年12月、カナダ司法当局にファーウェイ創業者の娘である孟晩舟 (モウ・ワンジョウ) 副会長を拘束するよう要請。
米国は身柄の引き渡しを要求している。
米側はあらゆる策を繰り出して揺さぶる方針だ。
(2019年6月16日号掲載)