2022年9月12日
11月の中間選挙で再選を狙うフロリダ州のロン・デサンティス知事 (43) が注目を集めている。
同じ共和党のトランプ前大統領 (76) 顔負けの「分断政治」で民主党を徹底攻撃する姿は「ミニ・トランプ」と呼ばれ、党内で台頭。
2024年大統領選の党候補としてトランプ氏とともに有力視されている。
「あんな小人、川の対岸へ突き飛ばしてしまえ」。
8月下旬、デサンティス氏が演説でアンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所長を罵倒すると大歓声が上がった。
新型コロナウイルス対策を主導し、保守層から敵視されるファウチ氏。
暴力的な言葉を浴びせたデサンティス氏に悪びれる様子はなかった。
下院議員を経て2019年に州知事に就任。
真骨頂とするのは、差別的だとの批判もいとわず、リベラル寄りの政策を「意識高い系」と非難し、民主党との対決を煽 (あお) る手法だ。
今年3月、性的指向や性自認の話題を小学校の授業で取り上げるのを規制する州法を成立させた。
性的少数者への差別を助長するとして批判が噴出、フロリダ州が拠点のウォルト・ディズニー社も反対したが、逆に、同社への優遇税制を含む特区制度を廃止し報復した。
中間選挙で実施されるフロリダ州知事選では対立候補をリード。
2024年大統領選で民主党のバイデン大統領と戦う場合、トランプ氏より有力な共和党候補になるとの世論調査結果も出ている。
ただ、トランプ氏が再出馬に意欲を示す中、対抗姿勢を示せば岩盤支持層の怒りを買う。
8月上旬に連邦捜査局 (FBI) がトランプ私邸「マールアラーゴ」を家宅捜索した際には、FBIを非難しつつ、トランプ氏の全面擁護は避けた。
トランプ氏との距離を見極めながら存在感を高めていくとみられる。
(2022年10月1日号掲載)