2023年11月18日
対話型人工知能 (AI) 「チャットGPT」を開発した米新興企業のオープンAIは11月17日、サム・アルトマン最高経営責任者 (CEO) が退任すると発表した。
取締役も辞めて退社する。
「取締役会の検討を経た結果だ。アルトマン氏がオープンAIを率いる能力を信用できない」としており、事実上の解任とみられる。
アルトマン氏は急成長する生成AI業界の顔として活動しており、突然の退任に驚きが広がった。
チャットGPTの開発やAIのルール作りに影響が出る可能性がある。
ミラ・ムラティ最高技術責任者 (CTO) が暫定的なCEOに就き、後任の人選を進める。
オープンAIはアルトマン氏が取締役会と十分なコミュニケーションを果たしておらず、取締役会の機能を妨げていると指摘した。
オープンAIと提携するマイクロソフト (MS) のサティア・ナデラCEOは「我々は長期契約を結んでいる。これからも互いにAI技術を世界に届けていく」とコメントした。
アルトマン氏の退任でMSのオープンAIへの影響力が強まるとみられ、同氏がMSに入社してAIチームを率いる可能性もある。
アルトマン氏は16日にアジア太平洋経済協力会議 (APEC) の関連イベントで講演するなど、直前まで精力的に活動していた。
4月に訪日した際には岸田首相と面会し、自民党の会合にも出席してAI技術を売り込んでいた。
アルトマン氏は2015年に電気自動車大手テスラなどを経営するイーロン・マスク氏らとオープンAIを創業。
昨年11月にチャットGPTを一般公開し、急速に利用を広げた。
*Picture: © Adrian Tusar / shutterstock.com
(2023年12月1日号掲載)