2023年6月19日
レストラン従業員らのサービスに料金を上乗せして支払うチップをめぐり、米国で論争が起きている。
新型コロナウイルス流行の影響からセルフレジ導入で省力化が進みながら、店側が当然のようにチップの支払いを求めているからだ。
「何のためのチップ」と消費者から疑念が高まっている。
空港や野球場の売店、カフェなどで支払いのためレジのタッチパネルに触れると、画面に「18%」「20%」「25%」などと、加えるチップの割合が選択肢として表示される。
米国では、コロナ禍で人との接触を避ける対策としてセルフレジが増加した。
人手不足も普及を加速した。
かつてはレジの前の小瓶に釣り銭を入れる程度だったコーヒーショップなどで、セルフレジ決済が一般的なチップの支払い方となった。
CNNによると、ファストフード店やカフェでの会計でチップが支払われた割合は2022年末で48%となり、コロナ禍前より11ポイント増えたという。
事前にスマートフォンなどで会計を済ませ、商品だけを店で受け取る客にもチップの選択肢が示される。
最近はチップを求められる場面が増えたことに疑念が相次ぎ、拒否する人も出ている。
一方で、買い物客からは「チップ0%」ボタンを押すのには罪悪感を抱くとの声も。
研究者からは、雇用主が賃上げの代わりにチップで従業員への報酬を賄っているとの分析も出ており、チップを巡る論争は今後も続きそうだ。
(2023年7月1日号掲載)