2021年5月2日
トヨタ自動車とダイハツ工業、スズキが軽自動車を含む小型の電気自動車 (EV) の共同開発を進めることが5月1日に分かった。
世界的に環境規制が強まる中、効率化を図り、競争力を高めるのが狙い。
開発は巨額投資が必要な半面、市場の成長速度が見通しづらく、自動車業界では合従連衡 (がっしょうれんこう) の動きが加速している。
ダイハツとスズキは2020年度の軽の新車販売で首位と2位。
2社で軽全体の60%以上を占める。
これまで鎬 (しのぎ) を削ってきたライバルだがEVではトヨタを中心に連携する。
トップ2社の参入で軽EVが普及する可能性がある。
トヨタは脱炭素の一環として、ハイブリッド車 (HV) や水素で走る燃料電池車 (FCV) と並ぶ電動車としてEVの品揃えを強化する。
ダイハツはトヨタの子会社で、スズキはトヨタと株式を持ち合う。
3社は車両の一部を共通化するなどし、開発費用を抑える。
電気で走行する技術に優れたトヨタと、軽開発に強みがあるダイハツ、スズキが協力する。
軽自動車はユーザーが低価格を求める傾向が強く、EV投入は遅れている。
一方で、短距離での移動に使われることが多く、EVの弱点である航続距離の短さが問題になりにくい側面もある。
脱炭素が世界的な潮流となる中、EV開発は自動車メーカーにとっては急務だ。
ただ、急速充電器などの整備は不十分な上、車両が高価で思ったより売れず、投資を回収できないリスクもある。
「(最大手以外の) 小さいメーカーだけでは参入が難しい」 (中堅メーカー) ため共同開発に踏み切ったとみられる。
日本国内の軽市場は大きく、メーカーは相次いでEV発売方針を示している。
日産自動車と三菱自動車は2023年度までに共同開発車両を発売し、ホンダも2024年に投入する予定だ。
これまでは軽ベースの三菱自のEV「アイ・ミーブ」などがある。
世界的に見てもEV開発コスト削減のための協業が進む。ホンダは米自動車大手ゼネラル・モーターズ (GM) と提携し、EVを北米で販売する計画を示している。
(2021年5月16日号掲載)