2021年9月23日
ホワイトハウスは9月中旬、米国に空路で入国する外国人に11月初めから、新型コロナウイルスのワクチン接種完了を義務付けることを明らかにした。
原則禁止してきた欧州などからの外国人の入国を接種を条件に緩和する。
入国禁止対象外だった日本などには制限の拡大となる。
航空機搭乗時に接種証明書を提示し、入国後の自主隔離は不要となる。
ワクチン接種義務化を軸とした入国政策が各国にも広がる可能性がある。
ホワイトハウスの新型コロナ対策責任者は「国際的な渡航は家族や友人の往来、商業の活性化、文化交流にも不可欠だ」と、規制緩和の狙いを説明している。
外国人の入国を出発地域によって禁止する措置には欧州各国が反発していた。
アフガニスタン駐留米軍撤退をめぐる混乱や、米英豪の安全保障枠組み創設に伴って、フランスがオーストラリアに潜水艦共同開発計画を破棄されたことで米欧関係が不協和音を生じる中、米側には欧州の要望に応える規制緩和で関係改善につなげる思惑もありそうだ。
米国が外国人の入国を規制しているのは、英国と、欧州域内での出入国管理を廃止した「シェンゲン協定」加盟国、中国、インド、ブラジルなど。
これらの国を過去14日間に訪れた外国人の入国を原則禁止している。
サキ米大統領報道官は記者会見で、ロシア製や中国製などのワクチンを認めるかどうかは検討すると説明した。
国際機関には、全世界に公平にワクチンが供給されるに至っていないとして義務化の動きを懸念する声もある。
現在は、米国民を含めた全ての入国者に対し、渡航3日以内の検査による陰性証明提出を求めており、ワクチン接種義務化後も継続する。
*シェンゲン協定:欧州の加盟国家間で出入国検査なしで国境越えを許可する協定。ドイツ、フランス、イタリアなど主要国が加盟しているが、イギリスは非加盟。
(2021年10月16日号掲載)