2021年10月15日
米議会上下両院は10月12日、連邦政府の借入限度額を定めた債務上限を引き上げる法案を可決し、政府資金の不足から国債がデフォルト (債務不履行) に陥る危機をひとまず回避した。だが、問題は先送りされたにすぎず、12月までに再燃する。
バイデン大統領が看板政策とする大規模な財政出動をめぐっても与党民主党内で対立が解けないなど、政権運営の課題は山積している。
「民主党の不始末の尻拭いには協力しない」
上院共和党トップのマコネル院内総務は8日、バイデン氏への書簡で、抜本的な問題解決につながる債務上限停止などには協力しない姿勢を示した。
今回可決した法案は12月3日までの政府資金を確保。
一方、2022会計年度 (2021年10月~2022年9月) の当面の支出を賄う「つなぎ予算」の期限も12月3日までとなっている。
この日までに債務上限と政府予算の2つの問題を解決できなければ、債務不履行や政府機関閉鎖といった危機が現実味を帯びるが、バイデン氏が共和党の協力を得る見通しは立っていない。
バイデン氏は1兆ドル (約113兆円) 規模のインフラ投資法案と、気候変動対策など総額3兆5,000億ドル規模の歳出法案の2つを成長戦略の柱に据える。
だが、与党内で意見が割れ、成立は見通せない。
焦点は歳出法案の規模だ。
財政規律を重んじる上院穏健派は減額を要求する一方、財政出動を重視する左派は大幅な減額に抵抗。
打開策を見いだせなければバイデン氏の目玉政策は掛け声倒れになりかねない。
(2021年11月1日号掲載)