Thursday, 17 October 2024

米警察、AIで捜査報告作成  警官不足対策、時短効果も

2024年9月7日

米国内の警察で、生成人工知能 (AI) を使って捜査報告書を作成する取り組みが始まった。

警察官不足対策の一環で、専用機器を開発した会社は文書作成時間を短縮して、警察官がより多くの時間を現場業務に充てることができるとしている。

警察内の評判は良いが、誤った報告書が作られる懸念も出ている。


「自分で書くよりも良い出来映え。

間違いもない」。

オクラホマ州オクラホマシティーの男性警察官はAP通信に対し、普段なら30~45分を要する仕事が機器を使うと8秒で済んだと語った。


この警察官が使ったのは、防犯機器メーカー「アクソン」(Axon) が4月に発表した「ドラフト・ワン」(Draft One)。

録音機能が付いた手のひら大の機器で、音声が同社のオンラインソフトに送られる。

ログインして交通事故や暴力事件などの類型を選ぶと、音声に基づき報告書の案文作成が始まる。

対話型AIのチャットGPTと同じ技術が搭載されている。


同社は警察官が平均で1日に3時間を書類作りに費やしていると強調した上で、作成時間を縮めることで、人員不足で生じる対応の遅れや残業を解消する一助になると訴えた。

警察官本人による内容確認と署名を経て提出する「安全策」を取り入れていると説明した。


APによると、他に少なくとも2都市の警察が採用している。

地元検察の助言に基づいて、当面は逮捕を伴わない軽微な事案に使用を限定している警察もあるという。


一方、法律の専門家は生成AIには偽情報を生み出す「ハルシネーション」 (hallucination=幻覚) と呼ばれる現象が伴うと指摘し、利点と弊害を「幅広く議論すべきだ」と指摘した。

(2024年10月1日号掲載)