Tuesday, 10 December 2024

学生の就業資格について (2012.2.16)

yoshiwara_top2010new

 

yoshihara_face.jpg吉原 今日子

米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

ご質問、ご連絡はこちらまで

 



koramu_560_new.jpg
学生の就業資格について

Q. 私は現在、大学でビジネスの学位を取るためにサンディエゴの大学に在学中です。

今度、ある米国企業でインターンシップに参加しようと考えています。

学生ビザで就学している関係上、お給料は受け取れないのでしょうか。

お給料を頂ける方法はありますか。

卒業前に給与の出る許可をもらうと、卒業後のOPTに支障が出るのでしょうか。

 

A.  あなたの場合、「Curricular Practical Training」を利用するのが最適であると思います。

F-1 ビザ (学生ビザ) のステータスで在学中に就労するには、以下の4通りの方法があります。
 

 

① On-Campus Employment

キャンパス内ならば、セメスター中は週20時間まで、休暇や休日の間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムで就労することができます。

キャンパス内ならば本屋やカフェテリアなど、雇用主が学校でなくても構いません。

また、キャンパス外であっても、職場が学校と密に提携している場合には、この制度の適用を受ける場合があります (例えば、メディカルスクールの学生が大学の付属病院で働くような場合)。
 

就労に際し、移民局の許可を直接得る必要はありませんが、学校が許可制にしている場合があります。

その場合、就労前に International Student Office へ行き、その許可を得る必要があります。
 

 

② Unforeseen Economic Necessity(Severe Economic Hardship)

米国入国時には卒業できるだけの資金があったにもかかわらず、学生のコントロールの及ばない範囲で事情が変わった場合、学校と移民局の許可を得ることで、キャンパス外でも就労できます。

職種の制限もありません。

これは、両親の失業、または入院による膨大な医療費の出費で、継続して就学を続けることが困難な場合などが例として挙げられます。

米国入国時には予期していなかった事情の発生が、学生側の原因で起こったのではないことの証明に加えて、この労働手段のほかに On-Campus Employment 等、他の労働手段がないことも条件とされています。

こちらは、去年の東日本大震災の際、被災地周辺にご家族が住んでいる人たちに多く発行されました。
 

 

③ Optional Practical Training (OPT)- Pre-Completion

一般的には卒業後に取得するOPT (Post-Completion) を卒業前に取得するものです。

フルタイムの学生として1年 (セメスター制の場合は2セメスター) 以上学校に通い続けた後、学期中は週20 時間まで、休暇や休日の間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムで就労することができます。

職種の選択にあたっては、学生の専攻する学術領域に限られます。

学校の許可を得た後、移民局の許可を必要とします。

ただし、就労期間がフルタイムで1年 (週20 時間ならば2年に換算) までに限られており、卒業後、OPT の Post Completion を申請した場合、Pre-Completion で就労した期間が差し引かれます。
 

 

④ Curricular Practical Training (CPT)

③ のOPT (Pre-Completion) と同じように、フルタイムの学生として1年以上学校に通い続けた後、学校の許可を得ることで、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間は、その後の学期の授業に参加することを前提としてフルタイムで就労することができます。

職種の選択にあたっては、学生の専攻する学術領域に限られます。

CPTは学校の許可のみでよく、移民局の許可を必要としません。

 

 

卒業後のOPT期間に影響を及ぼさないCPT

あなたの場合、インターンシップ先がキャンパス外であるため、① のOn- Campus Employment を使うことはできません。

また、② の Unforeseen Economic Necessity も、経済的な事情が変わったことを証明するのは困難でしょう。

卒業後にOPT を使うことを予定しているのなら、④ のCPT をお勧めします。

CPTはフルタイムで1年間就労しない限り、卒業後のOPT の期間から差し引かれることはありません。

例えば、CPTで1年より1日だけ短い364日間働いたとしても、卒業後のOPT は1年間すべて使うことができます。

さらに、パートタイムならCPTで何年間働いても、OPTの期間に影響を及ぼすことはありません。

あなたの場合、ビジネス専攻ですので、ほとんどの会社でその適用を受けることができます。

また、前述したように、CPT は移民局の許可を得る必要がないので、インターンシップを開始するまでの準備期間も非常に短くて済むことから、あなたにとって最適の就労資格と言えるでしょう。 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2012年2月16日号掲載)

 

 

 

​