Wednesday, 05 February 2025

技術者のアメリカ赴任 (2012.3.16)

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ishinabe_face.gif 石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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技術者のアメリカ赴任

Q. 7年の経験を持つシニアエンジニアを、本社から当社、日系会社のアメリカ法人へ赴任させることが決まりましたが、ビザを取得できるかが心配です。

技術系には L-1B ビザがあったと思いますが、最近ビザの審査が厳しいと聞いていますので、実情を教えてください。
 

 

A.  確かに「特別な知識を持つ専門職」者を対象とした L-1B ビザがありますが、最近は移民局で請願審査の基準が非常に高くなっており、社内や同業者でも特別視されるような、特殊あるいは特別な知識や技術を持ち合わせており、社内でも特別な地位に就いているということが立証できなければなりません。

請願が却下されたり、膨大な量の追加質問を受け、それらの質問状に対応する代わりに請願者 (雇用者) が自主的に請願をキャンセルするケースも多いことが報告されています。

そのような現状を考えれば、他のビザが可能なら、そちらを使うべきでしょう。

該当者はエンジニアということですが、理系の大卒の方であれば、ポジションと専攻分野が一致していれば、まず H-1B がお勧めです。

ただし、現在 H-1B の年間発行数が定員に達しており、次年度分ビザのための請願受付は4月2日から始まりますが、承認されても、有効期間は10月1日からとなります。

新規請願は3年間有効で、その後、さらに3年の延長が可能です。

10月まで赴任を延ばせないという場合、この方は部下監督責任や、部署の責任を任されているでしょうか。

そうであれば、L-1A (マネージャーまたはエグゼクティブ) の条件を満たしている可能性があります。

日本では管理職として扱われていないとしても、上記が該当すれば、移民法で定義するところのマネージャーと解釈される可能性があります。

L-1A の請願でも、マネージャーの解釈をめぐって、本社での経験または赴任後の職務がマネージャーレベルであるかどうかを立証することは、確かに以前よりは審査が厳しくなっていますが、L-1B ほどではありません。

組織図や詳細な職務の説明、部下のリストなどにより、移民局を説得することは可能です。

L-1A ビザでは新規申請で3年間、その後2年ずつの延長が2回可能で、合計7年間の赴任期間をカバーすることができます。

また、マネージャーレベルであれば、さらに可能性として、E-2 ビザもあります。

過去にアメリカ大使館または領事館で、他の社員がEビザの発給を受けている場合は、Eビザ申請企業としての企業登録がまだ有効な可能性があります。

そうであれば、個人申請用紙の他に、必要事項をサポートレターでしっかり説明すればよく、あとは面接で基本的な質問に答えていただくだけです (ビザ申請のシステムが3月末にリニューアルされるため、現在、面接予約が取りにくくなっています。3月23日以降のビザ面接については、新システムで3月23日以降に申請料を振り込んでからでないと予約を取れません。従って、新システム起動後も、4月中はアクセスが集中してシステムエラーが出たり、サイトにつながらないなどの不具合が生じる可能性があります)。

企業登録が失効している、またはこれから新規登録を行う場合は、企業が条件を満たしていることを立証する一連の書類が必要となりますが、会社資料および個人ビザ申請資料などを指定の順でバインダーに整理して大使館へ直接送付し、その後、通常約2週間で結果が大使館からファクスされますので、移民局の審査よりは速いと言えましょう。

条件が満たされていれば面接に出頭せよとの指示ですし、他に書類が必要であれば、その旨指定されます。

Eビザは5年間有効ですが、滞在期間は入国後2年間ですので、期限前に帰国&入国をし直すか、米国内で延長のための請願提出を忘れないようにしてください。

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2012年3月16日号掲載)

 

 

 

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