Wednesday, 05 February 2025

Lビザスタンプの変更について (2012.5.16)

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ishinabe_face.gif 石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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Lビザスタンプの変更について

Q. 最近、知人が5年分のLビザを発行されたそうです。

有効期限の規定が変更されたのでしょうか?
 

 

A. はい。

今年2月、国務省がパスポートに貼付されるLビザスタンプについて、アメリカと申請者出身国との互恵協約が有効期限を左右するものとする —— と発表しました。

ややこしい表現ですが、これまでLビザは、移民局が承認するL-1請願の承認期間と一致して発行されてきました。

すなわち、初回の請願では3年間、延長後は2年間のビザということになっていました。

また、I-94カードはビザスタンプと同じ期間が有効となっていました。

日本とアメリカの互恵協約のLビザ期間は5年間となっています。

要するに、今回の規定変更により、日本人の場合、ビザスタンプは請願の承認状に記載される承認期間に関係なく、一律5年間有効となったのです。

(一方、中国を例に挙げると、互恵協約による期間が2年間のため、今後ビザは2年分ずつしか発行されなくなります)
 

 

 

Q. 移民局発行の承認状は3年間となっているのに、5年分のビザスタンプを発行されるということですか?
 

 

A. そうです。

また、今回の変更はビザスタンプの期間に限られており、アメリカ国内の滞在期間には影響しないということですので、3年分の承認状で5年分のビザスタンプを発行してもらえるものの、I-94カードは3年分ということになります。

その代わり、I-94カードの有効期間が切れる前に再度L-1請願を提出し、2年間の延長が承認された場合、ビザスタンプはまだ期限が残っているので、そのまま使えるということになります。
 

 

 

Q. 最近、L-1を更新するための請願を提出したばかりです。

手元のビザスタンプは間もなく切れますが、どうなるのでしょう?
 

 

A. アメリカ国内にそのまま滞在していれば、滞在資格、就労許可はそのまま240日間延長されるので、ビザスタンプが切れても不法とはなりません。

請願が承認されると、延長請願は2年有効ですから、移民局から承認状とともに2年分のI-94カードが発行されますが、その後、ビザスタンプを更新する際には、ビザ申請フォーム (DS-160) の滞在予定期間の欄に5年と記入してください。

5年分のビザスタンプが発行されます。

このように、ビザスタンプとI-94カードの期間が一致しないことになりますので、うっかり滞在期限が切れてしまっていたということにならないよう、気を付けてください。

また、入国審査で審査官の勘違いにより、I-94の期間が誤って記入される場合が多発することが予想されます。

必ずその場で確認するようにしてください。
 

 

 

Q. ブランケットビザの場合はどうなりますか?
 

 

A. 雇用者がL-1ブランケットビザと呼ばれる事前承認の対象になっている場合、請願の承認状は、新規の場合以外は無期限となっています。

その際、無期限のブランケット承認状でL-1のビザスタンプを申請したとしても、ビザスタンプは5年分になります。

また、I-94カードは通常のL-1請願の期間に合わせて3年分ということになります。

簡潔にまとめますと、今回の変更は、あくまでビザスタンプの有効期間に限られています。

初めから5年分のビザを発給されて「得をしたような」印象ですが、滞在期間はこれまで同様、新規L-1請願承認後で3年間、延長請願が承認された場合は2年間となります。

合計滞在年数は、L-1A (マネージャー、エグゼクティブ) で最高7年間、L-1B (特殊知識を持つ専門職者) で最高5年間です。

ビザスタンプはアメリカへ入国するための書類ですので、ビザスタンプが有効であっても、I-94の期限が切れれば不法 (超過) 滞在ということになります。

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2012年5月16日号掲載)

 

 

 

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