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石鍋 賢子
米国カリフォルニア州弁護士 上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。
ご質問、ご連絡はこちらまで グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、 事務所設立。 米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。 |
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スポンサーのアメリカ人配偶者が 途中で亡くなったら永住権はどうなりますか? |
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Q. 留学中にアメリカ人と国際結婚をして、ご主人がスポンサーとなって永住権の手続きをしていた友人がいます。 ところが、つい最近、交通事故でご主人が亡くなったそうです。 突然のことで友人はたいそう悲しんでいますが、それに加えて永住権はどうなるのだろうと途方にくれています。どうしたらいいでしょうか。
A. アメリカ人配偶者がスポンサーとなって、アメリカ国内でアジャストメントオブステータス (滞在資格変更) による永住権の手続きを行う場合、配偶者が手続きの承認を受ける前に死亡すると、これまでは申請は無効となっていました。 しかし、2009年の法律改正により、スポンサーが亡くなった場合でも手続きを続行することが可能になりました。 通常では、配偶者が移民請願 (I-130) の請願者となりますが、手続き途中で死亡した場合は、I-130が自動的にI-360 (未亡人による移民請願) に切り替えられ、そのまま単独申請として審査が行われます。 ただし、未亡人となった場合でも、I-130請願の場合と同様、通常のアジャストメントの条件を満たしていること (犯罪歴、伝染病などを持たない、その他)、再婚していないことが条件です。
Q. 申請料はどうなるのでしょうか?
A. I-130のほうが申請料がやや高いのですが、I-360に切り替えられた場合でも差額が返却されることはありません。 また、下記のように初めからI-130ではなくI-360を提出する場合は、I-360の申請料を支払わないと書類が受理されませんので気を付けてください。 ちなみに、アジャストメント (I-130 / I-485) は指紋採取費も合わせて1,490ドルですが、未亡人によるアジャストメントの場合は計1,475ドルです。
Q. 話を詳しく聞いてみると、書類の準備をしていたものの、いろいろ分かりにくいことがあり、まだ移民局へ提出していなかったそうです。 もう手遅れでしょうか?
A. いいえ。 I-130が申請されていなくても、アメリカ人配偶者の死後2年以内であれば、I-130の代わりにI-360を申請することができます。 I-130と同様にアジャストメントを同時に申請できますので、雇用カードや出国許可を申し込むことができます。 経済力に関する宣誓書は必要ありませんが、経済的に自立していることはアジャストメントの条件ですので、面接が行われる頃までには仕事を得ていて、雇用者からのレターを提出できることが望ましいですね。
Q. それでは、フォームが1つ変わるだけで、これまで通りに永住権の手続きができるのですね?
A. はい、そうです。 なお、I-360の書式は多目的用紙で、宗教関係の移民請願や、アメリカ人を父親とする戦争孤児による移民請願なども兼ねています。 そのため、該当しない部分のほうが多くなりますので、ご注意ください。
Q. 国際結婚から2年以内に永住権を得た場合は、初めのカードがテンポラリーになると聞きましたが、未亡人として手続きを行う場合もそうでしょうか?
A. いいえ、この場合は初めから10年用のカードが発行されます。 「条件除去請願」の手続きを行う必要はありません。
Q. 例えばの話ですが、もし彼女が再婚していたら、離婚すれば手続きができますか?
A. いいえ、アメリカ人配偶者が死亡することにより未亡人となっても、一度再婚すると未亡人ではなくなります。 このため、その後に離婚しても未亡人に戻ることはできません。 |
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この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。 | |||
(2012年7月16日号掲載) | |||