Q. 高校卒業後、留学目的で渡米し、初めは学生ビザで語学学校に通っていましたが、その後学校をやめてしまい、I-20も切れています。
最近、法律が改められ、 “真面目な学生” は不法滞在を合法化できるかもしれない —— という噂を聞きました。本当でしょうか?
A. 今年6月15日に米政府は DACA (子供時代に入国した者に対する退去措置延期) の方針を発表しました。
しかし、これはあくまで 「政策上の指針」に過ぎず、正式な法律ではないことに注意してください。
また、書類を審査する職員に裁量が与えらているので、この方針は無視されるかもしれず、条件が満たされているからといって、必ずしも延期措置が保証されているわけではないのです。
とはいえ、条件を満たす者については、強制退去やそれに関連する法廷命令などの執行を2年間延期の申し立てをすることができ、また経済的必要性があればワークパーミットが発行されます。
Q. どのような条件があるのですか?
A. ①今年6月15日時点で31歳未満、②16歳になる前にアメリカに来ている、③2007年6月15日から現在までアメリカに継続して住んでいる、④ 今年6月15日にアメリカに居て、今回申請をする時点でもそうであること、⑤ 今年6月15日より前に入国審査を受けずに入国した、または今年6月15日時点で法的滞在資格が切れていた、⑥ 現在在学中、または高校を卒業したか、終了証書を取得した、または高卒同等学力証書を取得している、または沿岸警備隊ないし米国軍から名誉除隊した、⑦ 一定の犯罪暦 (重罪、一部の軽犯罪、他の3件以上の軽犯罪) を持たず、その他 国家保安や公共の安全を脅かさないこと —— の以上です。
ご質問者の場合、日本で高校卒業後に渡米なさったようですので、残念ながら ② の条件が満たされません。
Q. 近所に、 “真面目な高校生” で幼い頃に父親と一緒にアメリカへ不法に入国したらしいメキシコ人がいるのですが、この人はグリーンカードがもらえるのですか?
A. 確かに、一見すると ① から ⑦ の条件は満たされるようですね。
ですが、申請が承認されたとしても、永住権がもらえるのではなく、単に「移民当局による不正滞在に対する措置が2年間据え置かれる」というだけのことです。
また、この方針は一時的なもので、2年期限の前に、いかなる理由によっても、あるいは理由なしでもキャンセルされる可能性があり、また申請書類の処理にどれくらい時間がかかるのかも定かではありません。
加えて、ワークパーミットについては経済的必要性の基準が決まっていません。
さらに書類が却下された場合に上告する権利はなく、現在強制退去手続き中でない場合、申請時に提出された情報が将来何らかの形で強制退去に利用されないという保証もありません。
ちなみに、過去3年半で150万人もの人が強制退去させられています。
ですから「不法滞在者の救済」という意味では、もっと大掛かりな、総合的な移民法の改正が必要と言えましょう。
Q. そうなると、これは現在移民法廷で強制送還手続き中の人のためのものですか?
A. 特にそうとは限られていませんが、現在手続き中、または退去命令や自己出国命令が既に出されている人でも申請でき、承認されれば、出国を2年間延期できるということになります。
ちなみに、申請には I-821D、I-765、I-765WS のフォーム、さらに立証書類と申請料の465ドルを I-821D に指定されている移民局郵送受付所へ送付してください。
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