Thursday, 21 November 2024

Eビザ手続きについて (2013.3.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として10 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、5 年前に独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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Eビザ手続きについて
       

Q ティファナに在住し、メキシコの日系企業で現地採用により技術系の仕事をしています。

アメリカのビザを取ってもらい、サンディエゴのオフィスへ移りたいと思っていますが、可能でしょうか。
 

 

A 関連企業内でのトランスファーにはLビザがあり、エグゼクティブやマネージャー用のL-1 A、専門職系のL-1 Bがあります。

技術系の方ではこれまでL-1 Bが使われてきましたが、近年、その審査基準が非常に高くなり、よほどの特殊性、高度の技術などが立証できないと取得は困難です。
 

一方、米国法人も日系企業で、日本の親会社の資本による (日本企業による投資) のであれば、Eビザ申請の可能性があります。

EビザにもLビザ同様、エグゼクティブまたはスーパーバイザー職と、「会社に必須な職員」の2種類がありますが、その条件は少々異なります。

質問者の場合は後者、必須職員のカテゴリーに当たるでしょう。
 

Eビザでは関連会社での1年間の勤務経験という条件はありませんので、勤務経験が1年に満たなくても (あるいは別の日系企業への転職でも) 可能です。
 

「会社に必須な職員」 とは、本人が特別な技術を持っており、それが企業に必要とされていること、その特別な技術は会社がアメリカで効率よく作動するために必須であること —— と定義されています。
 

また、必須社員のカテゴリーの場合、その社員が必要とされる期間も考慮されます。

例えば、新規企業の立ち上げのためや、既存企業の新しいプロジェクトに関連してそのような人材が必要であるという場合、必要性は一時的なものに限られると解釈され、ビザの期間は1〜2年になります。
 

一方、会社の運営上、継続してそのような人材が必要となる場合は、長期的な状況と解釈され、ビザは5年間になります。

なお、必須社員の審査にあたっては、そのような社員がアメリカ人の中から見つかるかどうかも関連します。

これは、労働証明 (永住権へのプロセス) で使われる要素と似たコンセプトですが、その定義よりは幅が広く、ケースバイケースの解釈が許されます。

すなわち、その技術がアメリカに一般的に存在するか —— というようなことが判断の基準になります。

同様の技術者をアメリカ人から見つけられるのであれば、わざわざ外国人を連れてくる必要はない —— という考えです。
 

 

 

Q ビザの手続きを日本で行う必要がありますか?

これまで会社でEビザを取ったことがないので、難しいかもしれないと聞きました。
 

 

A 日本でのEビザ手続きには企業登録の制度があり、初めてのEビザ申請では、書類を予め送付して企業登録という審査をしてもらいます。

このプロセスに2〜4週間くらいかかります。

ですが、現在ティファナに在住であれば、日本人でもティファナ領事館でEビザの申請ができます。

ティファナでは企業登録の制度はありませんが、初めに指紋、写真撮影、資料提出を行い、その後15営業日 (約3週間) を経て、領事面接となりますので、時間的にはあまり変わらないかもしれません。
 

 

 

Q 妻はメキシコ人ですが、Eビザを取れますか?
 

 

A 配偶者も一緒に手続きを行い、審査が承認されれば、同時にEビザが発給されます。

ただし、互換ルールにより、日本人のEビザは5年間有効ですが、メキシコ人のEビザは1年期限となります。

そのため、毎年ビザの更新手続きを行う必要があることに注意してください。

また、いずれの場合も、アメリカに入国後の滞在期間 (I-94カードの期間) は2年ずつとなります。

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2013年3月16日号掲載)

     

 

 

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