Q 最近、最高裁で同性婚を認める判決が出されたそうですが、これは移民法にも適用されるのでしょうか。
A はい。判決とは、1996年に制定された、結婚は男女間に限るとした「結婚防衛法」が連邦最高裁により違憲とされたことです。
これにより、同性婚者にも異性婚者と平等の権利が保障されることになりました。
現在、カリフォルニアを含む13州とワシントンDCで、同性婚が認められています。
Q 具体的に、ビザへの影響を教えてください。
A ビザばかりでなく、永住権の申請にも適用されます。
ところで、同性婚と言っても、細かく分けると、①同性結婚、②シビルユニオン、③ドメスティックパートナーシップの3種類がありますが、②と③は異性の場合の事実婚に相当し、法的な夫婦ではありません。
今回、ビザ申請に関し、婚姻関係にある配偶者としてビザや永住権の申請が認められるのは、法的な結婚である①に限られています。
同性婚はアメリカのすべての州で認められているわけではありませんが、合法とされている州で結婚が成立すれば、その後、同性婚が認められていない州に住んでいても、移民法上は配偶者としての申請が可能になります。
Q 婚約者の場合はどうなりますか。
A 相手が同性婚を認めない国に住んでおり、その国で結婚できないのであれば、フィアンセビザの申請をして、結婚の目的でアメリカへ入国することができます。
その後、通常のフィアンセビザの規定に従って、同性婚を認めているアメリカの州で結婚が成立すれば、異性婚の場合と同様、アジャストメントオブステータスの形で永住権の申請ができます。
Q アメリカ市民との異性婚により永住権を取得した場合、婚姻関係が続いていれば、その後3年間で市民権の申請資格が得られますが、同性婚の場合はどうなりますか。
A 同性婚でも、異性婚の場合と同様に扱われます。
Q 子どもについてはどうなりますか。
A 子どもについても同様で、親子関係が立証され、子どもが18歳未満のときに結婚が成立すれば、配偶者の外国人の子どもとしてビザや永住権の申請ができます。
ところで、カリフォルニア州の同性婚については、2003年にアメリカで初めて同性婚が認められたマサチューセッツ州に続き、第2の州として2008年に導入されました。
ところが、すぐに宗教団体を中心に大々的な反対運動が展開され、同年の住民投票にかけられ、カリフォルニア州憲法修正提案8号 (Prop. 8) により、同性婚の執行が禁止されてしまいました。
その後、提案8号を違憲とする訴訟が起こされ、一審、二審とも同性婚執行禁止は違憲とされ、州最高裁に上告されていましたが、州当局自体が控訴を放棄していたため、上告者 (同性婚禁止推進派) には当事者として上告の資格がないという理由で却下され、提案8号違憲訴訟の勝訴により、同性婚が許可されることになったのです。
とはいえ、今回の連邦最高裁判決は全米で同性婚を認めたわけではなく、同性婚を合法化した州での同性婚者の権利を保障するという点に限られています。
残りの36州では今でも同性婚が禁止されており、今後一部の州では合法化が進むかもしれませんが、保守色の濃い南部の州では、あと10年くらいは現状維持であろうと予測されています。
また、合法化されても、人種差別のように、社会的な環境や、人々の考え方による差別的な要素は間接的に残るかもしれません。
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この記事は、参考として移民法に関する一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。
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