旅行

 

私は環境の変化に馴染めないタイプなので、旅行移動中に熟睡することができない。周りの人の所作も気になる。新幹線の車中。カシャカシャ、ゴソゴソと耳障りな音。私の座席から通路を挟んだ左側の乗客が、何やら悪戦苦闘中。会社員風の中年男性。テーブルにはKIOSKで買ったと思われる缶ビール、真空パックのチーズ、焼き干し芋。「一人宴会」を始めようとしてチーズを開封したものの、両端が金具で留められたビニールを剥くのに四苦八苦。爪で引っかいたり、捻ったり、二つ折りにしたり、歯で千切ろうとしたり・・。それでも諦めない (その気持ち、分かる)。彼は15分近く格闘していたが、手を止めてビールを飲み始める (諦めたのか?)。いや、チーズは後回しにして、干し芋の封を開け始めた。ところが、切り分けられた芋が袋の中でベッタリと引っ付いて、1枚だけ取り出すのは無理。ベトベトの手をハンカチで拭う。日本の商品は品質管理と衛生基準のレベルが高く、密閉/密封を厳重にしているので、安全性に信頼が置ける。しかし、少々度が過ぎる感もある。疲れ果てた男性はビールだけ飲み干して、チーズと干し芋を抱えながら、哀愁を漂わせて、私が降りる1つ前の駅で下車した。釈然としない結末のドキュメンタリーを観ていたような約30分間。春の旅行中に私が目にした、日本的な光景 (?) の一つ。 (SS)
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▽初めての海外旅行がワシントン州への留学で、その後、カリフォルニア州に移り住み、日本への里帰りが定番旅行となった。未だに、ヨーロッパも、アジアも、ハワイもニューヨークも行ったことがない。▽かつて、家族で「西部国立公園ツアー」に参加した。父は空港でカメラを置き忘れ、母は足に魚の目、姪はホテルに上着を忘れるなどのハプニングが続出。私といえば、お腹の不調で、バスの最前席と最後尾のトイレを何回も往復した。渓谷の景色よりも、そんな旅のドタバタが懐かしい思い出となっている。▽コロナ禍で家に籠もりながら、バーチャル旅行を楽しんだ。将来、アバターロボットで月や深海を探検したり、遠くの友達と世界旅行に出かけて、現地ガイドの案内をリアルタイムで体験できるとのこと。さらに、網膜と脳を連動させたフルダイブ体験で五感を活用する旅が可能になると言われている。歳をとって動けなくなっても、新しい冒険が待っている。▽「旅行は計画している時が一番楽しい」らしい。そんな「休暇幸福曲線」をオランダの研究者が明らかにした。旅行中の幸福は2週間限定だが、計画に感じる幸福感は8週間持続するとのこと。ルートや観光地の選定が前頭前野を刺激し、ドーパミンを放出して興奮と意欲が増すらしい。旅から帰ったら、すぐ次の計画をしよう。パッケージ旅行が大好きな自分としては、目からウロコが落ちるほどの発見だった。(NS)
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yoko
子供の頃、両親が共働きで忙しかったので、家族旅行をした記憶があまりない。でも、普段の休日には母と妹と3人で出かけることが多かった。買い物とランチ、山へハイキング、瀬戸大橋や蒜山 (ひるぜん) 高原までドライブ、冬は年に1、2度スキーに連れて行ってくれた。お盆休み、お正月休みには、よく兵庫県の母の実家へ帰省していた。私が覚えている家族4人の旅行らしい旅行といえば、中学生の頃に訪れたハワイ、山口の萩、高知の足摺岬、それから私が米国留学する少し前にキャンピングカーで岡山県北部へ行った一泊旅行だ。成人して自分が親になってみると、忙しい中、私たちをいろいろな所に連れて行ってくれた母をとても有難く感じる。私も子供たちに多くのことを体験させてあげたいが、時間的制約と経済面でなかなか難しい。日本にも連れて行きたいけれど、なかなか実現しない。この夏、子供たちのクラスメイトは外国へ行くそうだが、私たち家族は北カリフォルニアのグランマの家へ行く。2人とも大喜びで、楽しみにしているので私も嬉しい。グランマと過ごして、プールで泳いで、夏休みをエンジョイしてほしい。私もサンディエゴからベイエリアへ引っ越した友人ファミリーや義母、義父、夫の叔父叔母に会うのが待ち遠しい。義母宅の広いキッチンで料理をするのも楽しい。 (YA)
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suzuko-san
大抵の人は旅行好きだと思うが、諸事情でなかなか出かけられない人も多々いることも確か。私は東京時代、忙しい仕事のせいで、思うように休みがもらえず、せいぜいが旅程4、5日の近場の外国が旅行先。しかし、その会社を退職し、フリーランスになってからは、世に言う「糸の切れたタコ」状態。暇とお金を遣り繰りしての、大型小型の世界旅行が始まった。東京で遊ぶと高くつく。飛行機代さえ出せば後は格安、と暇に任せて、1年に春夏秋冬、タイのサムイ島に行くなど、かなり人生を遊んで過ごしてきた。物にお金を使うより、記憶にお金を使う。故に、せっせと節約に励んでは旅行に出かける。最近になって、その回数と旅程の長さが増えた。暇とお金は何とかなるにしても、健康な時に行けるだけ行っておこうと、最早イケイケドンドン状態だ。そして、とうとう私の海外訪問国50か国目となるチリに、この春、足を踏み入れた。首都サンティアゴで、世界各地と比べると格安という雲丹 (ウニ) を3食続けて味わうという贅沢、至極の幸せを経験させてもらった。日本も含めて旅行先で美味しいものを食す。そんな時、あぁ、生きててよかった、健康でよかったと痛感する。私がこんな話を従姉 (いとこ) にすると、旅行に行くには勇気も必要よ、と言う。暇もお金も健康も手にしていながら、勇気のない人は旅にも出られないのか。あって良かった、勇気。バンザーイ! (Belle)
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jinnno-san
米国では希少で貴重~な3連休の2日目に (1日目はダラっと飲んでオワってしもた 笑)、、、あ、2日目の朝からキャンプ始めたんじゃなくて、午後にキャンプへ行くと決めた (遅っ!笑)。しかし、、祝日のキャンプ場予約が当日に取れるワケがなく、、。過去に友人H部長が、連休に「翔平 (野球試合) を観に行って、帰りに San Onofre のキャンプ場で2泊しよう」と、なんとも楽しい思い付きにすぐ乗っかったわたしは、エンゼル・スタジアムに向かう途中で「えーっと、ゲームは何時からかな?」と調べ出したら、、試合はあるけれど、アウェイ&他州 (・・・) だった (^_^;)。H部長の頭の中では「試合=アナハイム」らしい 笑。「大丈夫!San Onofre は近いし」と気を取り直して向かったところ、、満員 (^_^;)。仕方がないので戻り、サンディエゴでブリトー買った 笑 という珍体験をしている。引き返す羽目になった場合は超ダルい、、。電話も出ないし、現場に行って開きがあるか確認するしかなかった。2件のキャンプ場に寄ったけど、やはり満員。もうダメかぁーっと思って3件目に着いたら、、、あれれ? 開いてたああーっ! 夕暮れも迫っていたし、これが劇的に感動だったのよ! すぐさまテント設営、焚き火、夕飯準備。何たる奇跡! 今回の教訓:連休に開いてるこのスポット、絶対に誰にも教えない。そう心に誓った (そこ? 笑)。(りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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帰省の際には、私のすぐ上の姉家族 (姉が3人いる) と「ディズニーリゾート1泊旅行に行く」が恒例となっている。子供たちの一番の楽しみでもある。今年の予定も決まっている。でも、この旅行には苦い思い出が・・。昨年、私は娘2人、姉家族、上から2番目の姉と一緒にディズニーを目指して、早朝4時に車で出発した。静岡から東名高速を東京方面へ30分ほど走った所で、私がスーツケース1つを家に忘れてきたことに気がついた。激怒したのは私のすぐ上の姉。几帳面で、いつも準備に抜かりのない、しっかり者だ。スゴい剣幕で叱責 (しっせき) され、久しぶりに私は泣いた。怖すぎ・・。5人兄妹末っ子の私は、昔からこの姉によく泣かされていたのを思い出した。間に入って私を守ってくれたのは2番目の姉。人当たりが柔らかく、気遣いがよくできて、やはりしっかり者。この姉がいなかったら、昨年のディズニー旅行は地獄となっていただろう。とりあえず、上の姉家族にはそのまま先に行ってもらい、私と2番目の姉は上の姉に連絡して、途中までスーツケースを持ってきてもらうことになった。無事にスーツケースを受け取り、足柄サービスエリアで姉家族と合流し、程なくディズニーに到着。ディズニーは子供たちのお気に入りの場所だし、母としても連れて行きたいが、昨年のトラウマが消えていない私は、今年はちょっと気が進まない。(SU)

(2023年7月1日号に掲載)