高橋 匠
育英セミナー・トーランス校 & アーバイン校講師
SAT・TOEFL・受験英語を担当。滞米20年以上の経験を踏まえ、日本式とは異なる指導法で実践的な英語を指導。現地校だけでは足りない知識を補い、生徒の力を最大限に引き出すことで定評がある。
SAT ・ TOEFL点数アップのために ①「心と知識のバリア」 を克服しよう |
高校生活を計画的に
現地校は日常的に英語に接する環境ではありますが、英語に対する「心と知識のバリア」を払拭できるかどうかで、英語力の伸びに差が出ます。 今回は主に課外活動の重要性と、TOEFL・SATのために身に付けるべき背景知識について説明します。
「心のバリア」とは?
外国語を学ぶ人にとって、最も大きな障壁は 「心のバリア」 です。 異なる文化を持った外国人と接する時に感じる距離感や、間違いを指摘されて恥をかいてしまうことに対する恐れは、語学を学ぶすべての人に共通するものです。 「心のバリア」 を払拭できた生徒は、英語と日本語のスイッチの切り替えが無意識にできるようになり、英語環境に入る時に身構えず、自然と英語が聞き取れるようになっていきます。 そうでなければ、たとえ英語が聞こえていても、聞き取ることはできないままです。 この 「心のバリア」 は、習慣とトレーニングによってある程度払拭できるものであり、そのための環境が現地校では整っているのですが、その好条件を活用していない日本人生徒も少なくありません。 それは日本人生徒だけで固まったり、ELDの授業に居残ったりするからです。 よって、課外活動をうまく活用して「心のバリア」を取り除く努力が必要不可欠です。
課外活動で英語力を身に付ける
英語を話す機会を与えてくれる課外活動は英語力を高める絶好の機会です。 特に Speaking 力は、読解力とは違って、机に向かって勉強するだけでは伸びません。 日本人の多い環境で英語を話す機会を失っている場合、それを補う必要があります。 英語で話す機会が増えるほど「心のバリア」 は薄れていきます。 具体的には、スポーツ、音楽、クラブ、ボランティア、インターンシップなどさまざまな課外活動があります。 スポーツならばサッカー、陸上、テニス、クラブならばロボット部、チェス部、音楽ではオーケストラ、コーラス、マーチングバンドなどの課外活動に多くの生徒たちが盛んに参加しています。 また、将来の夢や目標に関連するボランティアやインターンをしている生徒もいます。 早い段階で課外活動に参加することは、高校生活をより充実させ、「心のバリア」を取り除き、英語吸収力のアップにつながります。 そして、それは TOEFL・SAT のスコアにも反映していきます。まずは英語環境に身を置くことを、高校生活の計画に取り入れてみましょう。
背景知識を得て 「知識のバリア」 を克服
英語力を伸ばす上で乗り越えるべきもう一つの障壁は「知識のバリア」 です。 それは、ELD中心のクラスでとにかく英語力を伸ばそうと思ったり、受験対策をしなければと思うあまり、高校生で得られるような知識や教養に触れる機会が少なくなり、歴史的背景や文化的背景などを学ぶ機会を逸してしまうことです。 この「知識のバリア」 は、特に読解力に影響します。英語が字面でなんとなく理解できたようでも、実は何が書かれているのか分かっていないという「知識のバリア」が読解力を伸び悩ませる原因となっているのです。 そのため、ELDをなるべく早く抜けることや、現地校で本来学ぶべき知識を蓄えていくことが重要です。 例えば、現地校で Government と Economics の授業をあまり真剣に受けず、肝心のアメリカの政治、歴史的背景、経済の仕組みをしっかりと学んでいない生徒は、「ethics」や「moral」の意味を辞書で引いて「倫理」や「道徳」という日本語に置き換えたとしても、文章の核心は理解できません。 ヨーロッパの哲学者の思想を基にアメリカを独立に導いた先駆者たちの思想は、今でもアメリカに住む人たちの考え方の原点となっています。 これらの歴史的背景や文化的背景を学ばないことには、「建国」 や 「自由」 に関する文章の趣旨を理解することも難しくなります。 そのため、TOEFL・SATの勉強は 「知識のバリア」 を克服することが重要です。哲学、歴史、文学、科学、批評など、さまざまな題から読解力が問われるTOEFL・SATの Reading は、多彩な分野の知識があればあるほど、読み解くのが容易になるのです。 次回は、TOEFL・SATの点数アップのための技術的な話をします。現地校の勉強だけでは必ずしも十分とは言えない文法や文章構成の学習について説明します。
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(2013年8月16日号掲載) |