高橋 匠
育英セミナー・トーランス校 & アーバイン校講師
SAT・TOEFL・受験英語を担当。滞米20年以上の経験を踏まえ、日本式とは異なる指導法で実践的な英語を指導。現地校だけでは足りない知識を補い、生徒の力を最大限に引き出すことで定評がある。
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SAT ・ TOEFL点数アップのために ②「心と知識のバリア」 を克服しよう |
現地校は、英語力を身に付けられる場所であることは確かです。 しかし、滞米年数が短い場合はもちろんのこと、アメリカ育ちの生徒でも、たくさん本を読み、高度な英語を使う家庭で生活していない限り、現地校の学習だけでは、SATやTOEFLが求める読解力、語彙力、文法力の3要素の修得は困難です。
読解力と語彙力を伸ばすためには 現地校の授業ではアメリカの代表的な文学作品を多少読みますが、論説や時事、ビジネス、哲学、心理、社会の本に触れる機会はあまりありません。 読む量が少ないと語彙力は伸びません。 また、SATの読解問題では、著者と他者の主張を結び付ける文章などが多いので、背景知識を身に付けていないと誤読が生じます。 例えば、第1段落に 「定説」、第2段落に著者の 「新説」 という典型的な批評の段落構成で、「定説」 部分を著者の意見と誤解することがあります。 また、「著者AがBの主張にどう反論するか」 などの問いは、両者の主張を理解せずに答えることはできません。 こうした問題に答える読解力と語彙力を身に付けるには、SATやTOEFLの学習を通して読む量を増すことが大切です。
文法は、一度の学習だけでは不十分 州や現地校から教員に提示される英語カリキュラムには、文法指導はありませんので、各先生が生徒の苦手とする部分を判断し、断片的に文法問題を扱うだけで、反復して学習することは少ないようです。 つまり、現地校の英語学習だけでは、SATの筆記試験で必要となる総合的な文法や文章構成は身に付きません。 例えば、主語・動詞の一致や時制や代名詞などの知識を考えてみましょう。 以下は、SATの筆記試験に似た文章で、間違いが7か所あります。
The company which have been flooded with complaints about a product from customers issues a statement, but not until its promising to recall and fixing the problem was the customers satisfied enough and stopped some of this.
つまり、正しい文章はこうです。
The company which has been flooded with complaints from customers about a product issued a statement, but not until its promising to recall and fix the problem were the customers satisfied enough to stop some of these complaints.
確かに元の文章でも「通じる」でしょうし、現地校の先生も忙しくて看過するかも知れません。しかしSATでは、よりオーセンティックな「書き言葉」 の英語を身に付けなければ通用しません。
3要素は、総合的な英語力を伸ばす 読解力、語彙力、文法力の修得は、Speaking、Listening、Writingのレベルを高めます。 「書き言葉」 の表現や文章構成の学習は、より明快な「話し言葉」 の使用を可能とさせます。読解力と語彙力に必要な知識や単語は、正確な聴き取りを簡単にします。 また、整った構成と正しい文法で文章が書ければ、伝えたいことを誤解されずに伝えることのできる Writing 力が付いたことになるでしょう。 つまり、SATやTOEFLの勉強をすることは、それら自体の点数を上げるためだけではなく、総合的な英語力を身に付ける手段へとつながるのです。
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(2013年9月16日号掲載) |