テニスコーチの適格ビザ (2013.4.16)

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吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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テニスコーチの適格ビザ
       

Q 日本でプロのテニスプレーヤーをしています。

今回、アメリカのトーナメントに出場したことがきっかけで、アメリカでテニスを教えるオファーを頂いています。

どのようなビザを申請すればよいですか?

また、私のアシスタントもアメリカに同行し、私の仕事を手伝ってもらいたいと考えています。

彼に適したビザはあるのでしょうか?
 

 

A あなたの場合、特殊技能保持者に与えられる「O-1」ビザ取得の可能性が考えられます。

O-1ビザは高度の特殊技能者に与えられるビザです。

3つのカテゴリーに分かれ、ビザが認可されるか否かは各カテゴリーごとに審査され、それぞれ基準が異なります。
 

まず、1つ目のカテゴリーは、科学者、教育者、ビジネスパーソン、およびスポーツ選手です。

このカテゴリーは、O-1ビザの申請の中で最も厳格な審査が行われるとされています。

審査をパスするには、以下の8つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 

①     国際的に認められている賞を受賞したことがある
 

②     入会するにあたり、厳しい条件を課されている会の会員である
 

③     知名度のある出版物、あるいはメディアにおいて取り上げられたことがある
 

④     当該分野において、競技などの審査を担当したことがある
 

⑤     当該分野において、大きな功績を残したことがある
 

⑥     専門雑誌、あるいは知名度のあるメディアにおいて、記事を出したことがある
 

⑦     知名度の極めて高い団体で仕事を行っている、あるいは行った経験がある
 

⑧      収入が著しく高い
 

 

2つ目は、芸術家、および芸能人 (ただし、映画、テレビ関係は除く) のカテゴリーです。

これは、前者よりも審査基準は低いとされています。

このカテゴリーでの審査をパスするには、以下の5つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 

❶    公の場で高い評価を受けた作品において、主な役割を果たした、あるいは果たす予定
 

❷    新聞、専門雑誌等において、大々的に取り上げられた、あるいは高い評価を得た
 

❸    メディア等の著名な団体で、主な役割を担った
 

❹    多大な業績を上げた記録がある
 

❺    著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートから高い評価を受けた
 

 

3つ目は、映画、テレビ関係のタレント、および製作関係者のカテゴリーです。

このカテゴリーは、前記のような具体的な条件の列挙がなく「通常以上の極めて高い評価を受けている」とされているだけです。

従って、このカテゴリーにおける審査は、前記2つに比べて広汎であると言えます。
 

 

あなたの場合は、前記の1つ目のカテゴリーに属します。

O-1 ビザを申請する際には、常にスポンサーが存在していることが必要ですので、あなたの場合、テニスを教える学校、テニス場、あるいはあなたにエージェントがいれば、そのエージェントとの間の雇用契約書を提出することになります。
 

 

 

アシスタントも同期間の滞在が可能
 

また、あなたの仕事を手伝うアシスタントをアメリカに同行させるのには「O-2」ビザが適していると考えられます。

このO-2 ビザを取得するには、以下の条件が必要です。
 

1)    O-1 ビザを取得する者のアシストを行うことのみを目的として、アメリカに入国すること
 

2)    上記の仕事内容は、O-2ビザ申請者とO-1ビザ保持者との長期にわたる仕事上の関係ゆえに、O-2ビザ申請者がO-1 ビザ保持者のアシストを行うことが重要不可欠であること
 

3)    O-2 ビザ申請者が当該職務をアメリカ入国前の準備段階で既に携わっており、O-2 ビザ申請者が継続してそれに従事することが重要であること
 

 

あなたの場合、随行させるアシスタントが、例えば日本で長年にわたってあなたのアシスタントとして従事してきたのであれば、それを証明することが重要なポイントになります。

なお、O-2ビザは、O-1ビザ保持者の滞在期間と同期間与えられます。

また、O-1ビザ保持者の配偶者には「O-3」 ビザが与えられ、O-1ビザ保持者と同期間の滞在が許されます。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2013年4月16日号掲載)

     

 

 

 

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