肝炎の漢方療法(2015.2.1)

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son_new8.jpg曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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肝炎の漢方療法
       

Q : 私は50歳の男性です。最近の血液検査でGOTとGPTの数値が高いので肝炎と診断されました。

肝炎は肝硬変に移行して肝がんになることが多いので、早く治療するようにと医者に言われていましたが、肝炎治療に良い西洋薬がないので、肝炎の漢方治療がありましたら、お教えください。

 

 
A : 肝臓障害が起こると、血中のGOTとGPTの数値が増加するので、肝炎および肝臓疾患の指標になっています。


 肝臓の主な病気の中でウイルスによるものが肝炎、肝硬変と肝臓がんで、アルコールによるものが肝臓機能障害、脂肪肝と肝硬変になります。

肝炎の西洋医学的治療ではインターフェロンが使われていますが、効果があまり良くない上に、強い副作用として、ノイローゼになって自殺行為を起こしやすくなります。

厚生労働省の発表では、インターフェロン治療によって32人の自殺者が出ています。


 近年、漢方治療による肝臓疾患の治療効果が注目され、広く臨床に使われるようになりました。

難治の慢性肝炎、特にB型肝炎や非A非B型肝炎などのウイルス性肝炎に小柴胡湯が顕著な効果を上げています(Kan Tan Sui 25, 551-558 1992)。

小柴胡湯は慢性肝炎治療にとって重要な免疫賦活効果、免疫調節作用、抗炎症作用、細胞膜安定作用、インターフェロン誘起作用などがあることが知られています(Immune System And Chinese Herbs, Chapter 9, 1989)。


 東京大学医学部第一内科では、慢性肝炎患者に小柴胡湯と桂枝茯苓丸を各々1日7.5g併用した結果、半年後には63%、1年後には76%以上、さらに3年以上服用した患者は80%の改善が認められたと報告しています。


 また、小柴胡湯を服用していると、慢性肝炎から肝硬変、あるいは肝臓がんへ移行する割合が、小柴胡湯を服用していない人たちに比べて8分の1に減ったという結果が出ています(Cancer 76,743-749,1995)。


 最近では肝炎の漢方治療として、小柴胡湯と桂枝茯苓丸の併用がよく使われているので、小柴胡湯と桂枝茯苓丸の併用をお勧めいたします。肝臓がんの予防にも小柴胡湯と桂枝茯苓丸を併用してください。


 













 
(2015年2月1日号掲載)      

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