2012年の米国連邦 タックスカレンダー (2012.2.1)

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nagano_face.jpg 永野 文久

米国公認会計士

昭和17 年生まれ。  昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
昭和58 年米国公認会計士。

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2012年の米国連邦タックスカレンダー

謹賀新年。

昨年は、東北大震災、水害、円高等、日本および日本経済にとっては試練の多い年でした。

2012年は、逆転回復の年となってほしいものです。

さて今回は、米国における個人・法人の連邦所得税を概説し、関連する2012年中の重要な日付を見ていきたいと思います。
 

 

 

概説
 

▽連邦所得税

所得税 (Income tax) は文字通り様々な所得にかかる税金です。

個人の所得税は給与所得者の場合、日本と同じように給与支払者が支払いの際に給与から源泉徴収し IRS (内国歳入庁) に納付します。

自営業者等、源泉徴収対象とならない所得のある者は、2013年1月までに税金を4回に分けて支払います (予定納税)。

また、給与所得者でも給与からの源泉徴収が十分でない者 (例えば、駐在員で給与の一部が日本親会社から支払われており、その分について米国で源泉徴収されていない者等) は、その源泉徴収不足分について予定納税が必要となります。

暦年決算の法人の所得税については、2012年の予測課税所得に税率を乗じて求められる2012年分の予測所得税額を2012年中に年4回の予定納税として分割納付するのが一般的です。

なお、個人、法人いずれの場合も源泉徴収や予定納税で当該年度の申告が完結するわけではなく、確定申告が個人の場合は翌年の4月15日まで、暦年決算の法人の場合は翌年の3月15日までに必要です (期限延長をしない場合)。

日本のような年末調整制度がないため、給与所得者も原則全員が確定申告をすることになります。
 

 

▽その他の源泉徴収とForm 1099

日本においては、専門家等に対する報酬等について支払者が必ず源泉徴収をすることになっています。

一方、米国の場合は、給与以外の支払に関する源泉徴収は、 原則支払を受ける個人の納税者番号 (TIN -Taxpayer Identification Number、一般に社会保障番号SSN-Social Security Numberが使われる) が確認できない場合に限定されます (代替源泉徴収--Backup Withholding)。

また、日本の支払調書にほぼ対応するフォーム1099があり、銀行やその他の事業者が個人等に一定の支払いをした場合、当該支払者はその支払タイプ毎に受取者、支払額等を書いたフォーム1099を年度終了後IRSに提出します。

報告すべき支払タイプは、利息、配当やその他分配、賃借料、従業員以外の個人に支払った報酬、ロイヤルティー等多岐にわたり、様々な様式が用意されています。

なお、このフォーム1099による報告義務を2012年度から大幅に拡大する予定でしたが、2011年4月に撤回されています。
 

 

 

2012年連邦所得税タックスカレンダー

以下では個人・法人ともに米国内居住者で税務年度として暦年 (1月1日~12月31日) を想定しています。

また、法令上の期日が土・日・法定休日 (legal holiday) の場合、期日は土・日・法定休日以外の翌営業日となりますが、各州の休日などの影響がある場合があるため、詳細については確認された方がよいでしょう。

本稿中のIRSに提出するフォームは基本的に期日の消印有効ですが、その他の受領者へ渡すフォーム (例-1099やW-2など) はその期日までに受領者に届いていなければなりません。
 

 

・1月17日(原則15日-15日、16日休日)
 

〈個人/所得税〉 2011年分第4回目 (最後) の予定納税。フォーム1040-ESを使う。


・1月31日
 

〈個人/所得税〉もし1月17日の第4回予定納税までに税金を納められなかった場合、1月31日までにフォーム1040を提出し、納税する選択ができます(任意)。これによって第4回予定納税分の遅延ペナルティーを避けられます。
 

 

・全ビジネス/源泉税
 

2011年中に一定の支払をした場合、その支払タイプ毎にフォーム1099を発行し、その支払の受領者に渡します。(一部のフォーム1099は2012年2月15日が受領者に渡す期限となります)なお、上述したようにフォーム1099には各種ありますが、一般事業会社で最もよく作成されるのは1099-MISCです。
この他、雇用者は1月31日までに従業員にフォームW-2 (源泉徴収票) を渡します。
 

 

・2月15日
 

〈個人/所得税〉もし2011年にフォームW-4にて所得税の源泉徴収免除を申請し、2012年も免除を継続する場合は新しいW-4をこの日までに雇用者に渡します。なお、フォームW-4は、日本の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に相当するものです。
 

 

・2月28日
 

〈全ビジネス/源泉税〉 フォーム1099と、支払タイプ毎にその要約であるフォーム1096を作成しIRSに提出します(e-file=電子申告=を行う場合は4月2日=原則3月31日=までに提出)。フォーム1099を支払の受領者に渡す期限(1月31日)とIRSへの提出期限(2月28日)が異なることに留意してください。
 

 

・3月15日

〈法人/所得税〉 フォーム1120を提出し税額を支払います。6か月の延長を申請する場合はフォーム7004を提出し、支払うべき所得税額を納めます (申告書提出の延長はできるが税額支払の延長はできないので注意)。
 

 

・4月17日(原則15日-16日Washington D.C 祭日)
 

〈個人/所得税〉2011年分の所得税申告書フォーム1040を提出し支払うべき税額を支払います。6か月の延長を希望する場合はフォーム4868を提出 (申告書提出の延長はできるが税額支払の延長はできないので注意)。
 

〈個人/所得税〉 2012年分第1回目の予定納税の申告をフォーム1040-ESで行い納税。
 

〈法人/所得税〉2012年分第1回目の予定納税 (法人の場合定型フォームはないが、予定納税額を計算するワークシートとしてフォーム1120-W<リンクは2011年用>が有用) で必要額を支払う。
 

 

・6月15日
 

〈個人・法人/所得税〉2012年分第2回目の予定納税。
 

 

・9月17日(原則15日)
 

〈法人/所得税〉フォーム7004を期限内に提出し、6か月延長が認められていた場合は、この日までにフォーム1120を提出し、(もしあれば)税額、利息及びペナルティーを支払う。
 

〈個人・法人/所得税〉2012年分第3回目の予定納税。
 

 

・10月15日
 

〈個人/所得税〉フォーム1040の提出を6か月延長していた場合は、この日までに提出し、(もしあれば)税額、利息及びペナルティーを支払う。
 

 

・12月17日(原則15日)

〈法人/所得税〉2012年分第4回目の予定納税(個人の第4回目は2013年1月15日)。

 

給与の源泉徴収税額
なお、日本においては雇用者が源泉徴収した所得税は原則支払月の翌月10日までに納付しなければなりませんが、連邦所得税の場合、金額によって翌月の15 日まで(monthly)、数日内(semiweekly)、翌日(next-day)などのパターンがあります。


※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
(2012年2月1日号掲載)

 

 

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