曽 碧光
米国中医薬研究所所長
1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。
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豚インフルエンザ |
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Q : 私は30歳の男性です。今年、米国でのインフルエンザは2009年から2010年に全世界に多くの感染死亡者を出したH1N1型インフルエンザ(通称豚インフルエンザ)と確認されています。
このインフルエンザの特徴は、健康な若年と中年成人に感染者の死亡率が高いことです。
その訳をお教えください。また、このインフルエンザの予防法もお教えください。
A : 豚インフルエンザで若い人や中年層成人に重症化や死亡率が高い理由の1つとして考えられているのが、免疫などの過剰反応です。
ウイルスの大量増殖に対抗するために、人の体内では、免疫応答などの防御をつかさどるサイトカイン (cytokine) と呼ばれる感染抵抗タンパクが作られます。
これは防御機能の1つですが、それが過剰に行われると、かえって自分自身の様々な細胞に障害を与えてしまうので、回復不可能な肺の急性呼吸窮迫症候群や多臓器不全を引き起こす結果になるわけです。
こうした過剰反応は、免疫機能の活発な若年と中年成人の方が起こしやすいと考えられています。
豚インフルエンザの予防法として、まずインフルエンザの予防注射を受けることです。
予防注射は100%予防できるという保証はありませんが、インフルエンザにかかっても軽い症状ですむようになります。
予防注射は予防の完全保証にならないので、その補助として、免疫増強効果のある霊芝人参黄耆湯の服用をおすすめします。霊芝人参黄耆湯は予防注射の効かない老齢者が使用して素晴らしい予防効果を上げている漢方薬です。
霊芝人参黄耆湯の主要構成生薬である霊芝、人参、黄耆の3つの生薬とも免疫機能を増強すると同時に正常化する効果があり、体がウイルスに過剰反応してサイトカインを過剰分泌しないように働きます。
また、霊芝人参黄耆湯は抗ウイルス、抗バクテリア、抗アレルギーのほか、抗ウイルス作用のあるインターフェロン生産を高める生薬も含まれており、インフルエンザ予防に必要な作用をほとんど兼ね備えています。
万が一、インフルエンザにかかった時は、葛根湯を即時服用するとインフルエンザがすぐ治ることがよくあります。
それは、葛根湯にいち早くインフルエンザウイルスを体内から排除する作用があるからです。
葛根湯が感冒の引き始めによく効くのは、この作用によるものです。
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(2014年3月1日号掲載) |
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